2023 年 40 巻 3 号 p. 392-396
当院受診中の筋ジストロフィー及び類縁患者で,2020年初めから2022年10月までの期間にcoronavirus disease 2019(COVID–19)に罹患した,60名の患者について後方視的に検討した.感染者数は2022年に55名と急増した.COVID–19は市中感染化しており,感染予防は今後一層困難になると推測される.COVID–19の重症化はステロイド・免疫抑制剤治療例で見られたのみで,筋ジストロフィーが重症化リスクになる可能性は低いと思われる.一方で,エアロゾル対策上積極的な排痰処置が困難になることから,隔離期間中に去痰困難や細菌性肺炎の合併・遷延を生じる例が多く見られた.また,感染症状が軽度でも心機能増悪を認める例が存在したことから,罹患者では心機能に注意した経過観察が必要と考える.