2024 年 41 巻 1 号 p. 60-63
症例は20歳男性.4歳時に眼筋障害で発症し,胸腺腫非合併,抗アセチルコリンレセプター(acetylcholine receptor antibody:AChR)抗体陰性,抗筋特異的チロシンキナーゼ(muscle–specific tyrosine kinase:MuSK)抗体が陽性であった.Tacrolimsを併用するもprednisolone依存下に緩徐に増悪し,19歳時移行医療が適応された際,prednisolone 40 mg/48時間毎の内服で,眼筋・咽頭筋・呼吸筋・四肢筋力の慢性的な低下と筋萎縮がみられ,%forced vital capacity(FVC)17.3%の呼吸障害のほか,首下がりが顕著で在宅療養をしていた.血漿交換やintravenous immunoglobulin therapy(IVIg)を使用し,数ヶ月で首下がりの改善と%FVCが39.8%と改善した.IVIgとefgartigimodによる維持的な治療,および内服のcyclosporinへの変更を行い,約1年でprednisolone 15 mg/日まで漸減できた.小児発症で難治長期経過例でも速効性治療を取り入れることで,症状の改善効果や維持効果が認められる.