2024 年 41 巻 2 号 p. 125-128
現在,認知症は世界規模の問題になっている.Alzheimer病(Alzheimer disease:AD)では,臨床・病理像の解明は進み,優れた診断技術も数多く開発されている.治療に関して歴史的には神経伝達物質に注目した疾患修飾薬開発に端を発し,2000年前半のアミロイドワクチン療法開発を経て,現在は様々なアミロイドβ蛋白(amyloid beta–proteins:Aβ)の分画に対するモノクローナル抗体の研究が主流になっている.近年はAβ凝集の中間産物であるAβ protofibrilをターゲットにしたlecanemabが臨床の場に登場している.本稿では,Aβの分子挙動や凝集反応に関する最新の知見を概説する.