2025 年 42 巻 2 号 p. 102-107
我々は,アミロイド凝集カスケードにおける様々な凝集体分画の中でhigh–molecular–weight amyloid β–protein oligomerの1つであるamyloid β protofibrilに注目し,size exclusion chromatographyから抽出したglobular–shaped amyloid β–protein oligomer(gAβO)の分子作用を検証した.チオフラビンT(thioflavin T:ThT)分析や高速原子間力顕微鏡の解析結果により,アミロイド凝集カスケードにおいてgAβO自体は線維形成を示さない一方,gAβOはlow–molecular–weight Aβ42の凝集プロセス(一次核形成,線維伸長)を促進させる効果があることを明らかにした.さらに,その促進効果はサンプル内に共存するmature Aβ42 fibril seedsの量に依存して変化することも明らかにした.本研究成果はgAβOがAlzheimer病(Alzheimer disease:AD)の病態の中でも特に病初期に深く関与している高毒性のAβ分画であることを示している.