日本口腔診断学会雑誌
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原著
インプラントの経過観察におけるパノラマX線写真の有用性
神垣 友希乃小倉 晋岩田 洋代居 敬
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2017 年 30 巻 2 号 p. 231-236

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抄録

本研究は,インプラント周囲の骨吸収を診断するときのパノラマX線写真の有用性の検討を目的としている。対象は34名/117本の下顎臼歯部のインプラント体を平行法X線写真とパノラマX線写真を10年間にわたり検討した。平行法X線写真(D score)とパノラマX線写真(P score)の測定値を全症例,パノラマX線写真上でインプラント体が不鮮明であるもの(V group),鮮明にみえるもの(N group)に分けて検討した。その結果,D scoreとP scoreが有意に相関を示した。その一致度を詳しく分析するために,Bland-Altman分析を行ったところV groupにおいては加算誤差-0.43~-0.32と大きく示されたがN groupでは-0.09~-0.03と非常に小さかった。パノラマX線写真上でインプラント体が不鮮明であるものは診断に注意が必要であるが,下顎臼歯部においてインプラント周囲の骨吸収の診断はパノラマX線写真でも有用であると考えられた。

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© 2017 日本口腔診断学会
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