2022 年 35 巻 3 号 p. 217-222
われわれは,顔面外傷2年後に左鼻翼部に生じた慢性拡張性血腫を経験したので報告する。患者は50歳代男性,左頰部腫脹を主訴に当院を受診となった。臨床所見として,左頰部に弾性硬で径約30mm大の腫瘤を認めた。CTにて被膜に覆われた囊胞様病変を認め,またMRIではT2強調画像で高信号と低信号の混在を認めた。全身麻酔下で腫瘤摘出を行った。病理組織学所見で線維性組織が主体であり,内部には微小血管の増生を伴った肉芽組織を認め,臨床所見および病理組織学的所見から慢性拡張性血腫と確定診断した。術後10年経過しているが,再発は認めない。