知能と情報
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原著論文
動的輪郭モデルによる MDCT画像からの前十字靭帯再建術後の骨孔領域自動抽出法の提案
長宗 高樹西本 浩司星野 祐一久保 晴司水野 清典黒田 良祐黒坂 昌弘
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2008 年 20 巻 1 号 p. 53-65

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抄録

スポーツ競技中に好発される膝関節の前十字靭帯損傷時においては,失われた機能を回復する為に再建術を行う.再建術は大腿骨および脛骨に骨孔と呼ばれる穴を作成し,それらの穴に再建靭帯を通して,大腿骨と脛骨を連結する.ここで,作成された骨孔は時間経過とともに再建靭帯との摩擦や圧力によって骨孔拡大が発生し,それが膝の前後及び回旋安定性に影響を及ぼすと言われている.骨孔拡大と術後成績との関係を検討するためには,骨孔拡大の3次元の定量的評価が必要であるが,MDCT中における骨孔領域の読影の困難さから行われていない.MDCT画像中において,骨孔周辺の信号値は曖昧な分布を示しており,簡易的な閾値処理や領域拡張法では抽出が困難である.また,MDCTのデータ量は非常に膨大であり,検者が手動で抽出するには時間的・肉体的な労力を要する.そこで,本研究では MDCT画像中における骨孔領域の特徴を動的輪郭モデルに適用し,自動的に抽出する方法を提案する.6人の被検者に対して各二回取得した MDCTデータに本方法と熟練者が手動で抽出した結果を比較した所,3.5%の誤差であった.

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© 2008 日本知能情報ファジィ学会
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