知能と情報
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特集:「人々に寄り添う感性システム」
会  告
特集論文:人々に寄り添う感性システム
原著論文
  • 目良 和也, 黒澤 義明, 竹澤 寿幸
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 34 巻 3 号 p. 555-567
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    現在普及している音声対話システムは主に音声認識によって得られた文字列を入力としているが,音声認識では口調や表情などの非言語的情報に表れるユーザ感情を認識できない.また,ルールベース方式でユーザ感情まで考慮した応答を行うためには膨大な応答ルールを作成しなくてはならない.そこで本論文では,統計的応答手法を用いて非言語的な感情表出を考慮した応答を行う音声対話システムを提案する.しかし統計的応答手法は文字列を対象とした手法であるため,非言語的な表出感情を絵文字として発話文字列に付与した中間表現を作成し,その中間表現を統計的応答手法への入力とする.発話音声の音響的特徴から感情を推定する処理を組み込んだ提案手法と非言語的な感情表出を考慮しない比較手法について評価実験を行った結果,実際に対話することでの印象評価においても各応答発話に対する評価においても,提案手法の方が有意に良い結果となった.

  • 片山 晋, 米澤 拓郎, 河口 信夫
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 34 巻 3 号 p. 568-578
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    感情を扱う対話システムはユーザの満足度向上や肯定的なインタラクション増加の効果が認められており,人間に寄り添うデジタルパートナーとしての役割が期待されている.対話システムがユーザの感情を認識し,対話システム自身の感情を表現するためには,対話の文脈から適切な感情を選択する感情制御が不可欠である.本研究では,応答時の適切な感情を推定する感情制御を伴うテキスト応答生成フレームワークを提案する.提案手法はユーザの発話テキストにおける意味的文脈と感情的文脈を考慮することで応答時の適切な感情を推定し,感情表現を含んだ応答テキストをニューラルネットワークを用いて生成する.実験では,対話生成の品質に対する評価指標を用いた自動評価と,クラウドソーシングサイトを用いて集めた100人の被験者による人手評価を行い,提案手法の有効性を示した.

  • 吉田 直人, 米澤 朋子
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 34 巻 3 号 p. 579-591
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,ロボットの生理表現による感情表現を介した間接的接触コミュニケーションについて議論する.ユーザが映像や写真コンテンツに注意を向ける状況において,コンテンツに合わせたロボットの生理表現が,コンテンツ/ロボット双方の印象に及ぼす影響を評価する.不随意な生理現象は内部状態と密接な関わりがあり,接触することによって触覚等を介して他者に伝達され,他者の内部状態に影響を与える可能性が考えられる.呼吸・心拍・体温などの不随意な生理現象を組み合わせて内部状態表出を行うロボットを用い,実験参加者がモニタのみに注意を向けた状態で映像や写真コンテンツを視聴し,ロボットの生理現象の変化が,コンテンツ/ロボット双方の印象に及ぼす影響を評価する.実験の結果,ロボットの生理現象表現は,実験参加者のコンテンツに対する特定の感情を変化させ,ロボットに対する親密性や敏感性の印象を変化させることが示された.

  • 福田 悟志, 難波 英嗣, 庄司 裕子
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 34 巻 3 号 p. 592-600
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルスワクチンの開発会社や政府は,人々にワクチン接種への安心感を与えるために,ワクチンの効果や接種状況といった情報を日々発信している.しかし,ワクチンに対する関心やワクチンの接種状況は国や地域によって様々であるため,必ずしも人々に安心を感じてもらえないことがある.本稿では,Twitter上に投稿されたツイートを解析し,人々が新型コロナウイルスワクチンに対して持つ感情とその感情が表れる要因を分析した.日本,米国,英国,カナダ,オーストラリア,インドの6カ国を対象とし,プルチックの感情の輪で定義されている8種類の感情に基づいた機械学習による感情分類,および係り受け解析とバースト検知手法によるテキスト解析アプローチを適用した.感情分類の結果において,人々が持つ一般的な感情として,日本では恐れ,米国,英国,カナダ,オーストラリアでは怒りと嫌悪,インドでは喜びが表れていた.また,感情の時系列的変化において,バースト検出された係り受け関係に基づいて,特定の感情が盛り上がった期間におけるツイートを分析したところ,多くのユーザによりワクチン関連のニュースが投稿されたこと,1人のユーザにより同一内容のツイートが大量に投稿されたこと,ワクチンに関する同一の出来事でも個人の状況に応じて異なる感情が盛り上がる場合があるといったいくつかの特徴を発見した.

  • 石倉 陸人, 林 篤司, 岩下 志乃
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 34 巻 3 号 p. 601-611
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    精神障害の予防を目的とした認知行動療法(CBT)を用いた心理教育のなかで,学習におけるグループワークに対して肯定的な意見が挙げられており,インターネットを用いたCBTサービスにおいても利用者の動機付けに有効である可能性が示唆されている.そこで,本研究ではグループワークを擬似的に再現して,CBTの基礎知識とスキルを学習する心理教育Webアプリケーションの開発を行った.ユーザはワークシートを模した画面に,出来事に対する自身の思考などの回答を記入する.遷移後の画面に同じ課題に対する別のユーザの回答を表示することで,他人の意見を聞くというグループワークの状況を再現する.開発したWebアプリケーションに対して,CBTの基本知識とスキルの理解度や定着度,実験協力者の抑うつ尺度に加えて,日常生活で活用できたかの検証を行う実験を行った.結果として,CBTに関する知識やスキルの理解と定着に一定の効果が見られたため,グループワークを擬似的に再現した心理教育Webアプリケーションの学習面における有用性が明らかになった.

ショートノート
  • 西原 陽子, 雷 凱風, 山西 良典
    原稿種別: ショートノート
    2022 年 34 巻 3 号 p. 612-618
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    漫画を読んだ後,登場人物の初登場シーンや活躍したシーンなどを再び読みたいと思うことがある.その際に検索エンジンで調べてしまうと,関係のない情報を知ってしまい,漫画の楽しみが減少してしまう恐れがある.漫画の内容検索に特化した検索システムやインタフェースは少ない.本論文では,既読部分であれば登場人物の出現頻度情報により,読者は漫画の内容を想起できると仮説を立て,登場人物の出現頻度情報を可視化し漫画の内容検索を支援するインタフェースを提案する.提案インタフェースでは,漫画の登場人物の出現頻度をセリフ数でカウントし,出現頻度の時系列情報を積み上げ面グラフで可視化する.提案インタフェースのユーザは,可視化された情報を見ることで目的とする漫画の内容検索を行うことができる.提案インタフェースを評価する実験で被験者に漫画を読んでもらった後,実験者が設計した検索課題に回答してもらった.提案インタフェースを用いて回答する実験群と,検索エンジンを用いて回答する統制群を設け,検索課題の正答率を比較した.実験群の平均正答率は81%,統制群は67%であった.統計的検定の結果,提案インタフェースは検索時に内容を明示することなく,内容検索の内,登場人物の活躍シーンの検索を支援できることが示された.

  • 関 萌水, 林 篤司, 岩下 志乃
    原稿種別: ショートノート
    2022 年 34 巻 3 号 p. 619-623
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,対話文における同じ話題の区間に対して話題語をラベル付けする手法を提案する.まず,人がどのように話題語をラベル付けするかを調査した.その結果,話題が開始した最初の文に含まれる語や,区間全体に現れる語から連想される語が話題語として付与されていることがわかった.また,区間内の単語の出現頻度を基にラベル付けした場合は,他の話題にも表れるような特徴的でない言葉が出力されてしまうことがわかった.そこで,今回は区間の最初の文においてTF-IDFが高い語を話題語の候補として取得したうえで,話題に関係なく現れる語を除くためにDFを用いたストップワードを設定した.提案手法を用いて話題語のラベル付けをし,人の付与したラベルと比較する評価実験を行った結果,ラベル付けの精度向上を確認できた.

一般論文
原著論文
  • 石原 聖司, 五十嵐 治一
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 34 巻 3 号 p. 624-634
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    価値関数を用いずに期待報酬の勾配関数を表現するREINFORCEアルゴリズムなどの方策勾配法は,マルチエージェント系への適用において,報酬や状態遷移確率などの環境モデルやエージェントが決定する方策にマルコフ性を仮定する必要がない.この種の方策勾配法の一つとして,行動決定のために最小化することを目的とする関数を,方策に相当するボルツマン選択のエネルギー関数として使用する方式があり,状態と行動の組み合わせの価値やヒューリスティクスなどを表す重みによって目的関数を柔軟に構成できることが示されている.一方,マルチエージェント系における強化学習には,環境の複雑さ,エージェントや行動の数の増加によって,状態数が著しく増える状態爆発の問題がある.その有効な対応策の一つとして,ボルツマンマシンで価値関数を近似する方式が提案されている.ボルツマン選択で表現した方策に目的関数を用いる方策勾配法においても,ボルツマンマシンによる近似を適用できれば有用である.本論文では,第一に,ボルツマン選択で表現した方策中の目的関数をボルツマンマシンのエネルギーで近似して方策勾配法で学習する一手法を提案する.第二に,モジュール構造を持つ制限ボルツマンマシンのエネルギーで当該の目的関数を近似するより効率的な手法を提案し,それに対応した方策勾配法の学習則を示す.マルチエージェント系の例題である追跡問題への適用実験の結果,両提案法によって少ないパラメータ数で適切な方策を学習できたことと,学習にかかる計算コストを第二の提案法によって大幅に削減できたことを確認した.

  • 吉川 伸一
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 34 巻 3 号 p. 635-653
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    近年,ベイズの理論は幅広い分野で活用されるようになってきている.IT分野では効率性の優れた検索ができるようにベイズの理論が利用され,電子メールの迷惑メールの振り分けにも,この理論が活かされている.ベイズの理論を主眼とする研究報告は多く,それらはベイズ的な統計的解析の枠組みを構成することを目的としている.本論文では,通常の確率空間から得られるファジィ区間データに基づく統計的モデルの近似的ベイズ選択手法を提案する.ただし,Zadehが提唱したファジィ事象の確率概念に基づき,定式化を進める.ファジィ区間とは区間の境界があいまいになっていることを意味する.ファジィ区間データはメンバシップ関数を用いて特徴づけられるが,これと確率密度関数との積に関する積分は計算上非常に複雑になるという難点がある.しかしながら,本論文で提案しているメンバシップ関数の中心値を代表値として用い,補正を施す手法ならばその問題をほぼ解決できる.ここでは,統計的モデルの選択として標準正規分布,正規分布,t分布,Gamma分布及びWeibull分布を対象としてモデル選択の手法を解析的に示している.さらに,提案手法を具体的に説明するために数値例を示している.ここでは,台形型メンバシップ関数が左右対称型ではなく,非対称な形状として得られる状況を設定し,提案手法が柔軟に対処できることを示している.その結果,本手法の有用性を示すことができた.

  • 山本 祐輔, 田中 さや, 原地 絢斗, 村松 歩, 武村 紀子, 長原 一, 水野(松本) 由子, 下條 真司
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 34 巻 3 号 p. 654-662
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,脳波と心電図を組み合わせた機械学習により,情動判別の精度が向上するかどうかを検証することを目的とした.実験参加者は健常成人16名とし,情動ストレス負荷として安静・不快の視聴覚刺激を呈示した後の180秒間の脳波と心電図を周波数解析した.脳波のβ帯域と心電図のLF,HF,LF/HFを算出した.その後,脳波と心電図それぞれ単体のデータセットと脳波と心電図を組み合わせたデータセットを用いたニューラルネットワークの精度を比較した.その結果,脳波と心電図を組み合わせたデータセットを用いたニューラルネットワークの正解率が79.51%を示し,他データセットの場合よりも高値を示した.このことから,安静と不快に対する情動反応は,脳および自律神経活動において異なると考えられ,両方の指標を組み合わせることで,より精度の高い判別を行うことができる可能性が示唆された.

ショートノート
  • 市川 淳, 喜古 泰一, 秋吉 政徳
    原稿種別: ショートノート
    2022 年 34 巻 3 号 p. 663-668
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    他者との同期運動は結びつきを強化し,他者に関連する印象を向上させる.我々は過去に,起立・着席運動の課題から人同士で得られた知見を人と仮想エージェント間に発展させた.しかし,心理実験ではエージェントが動く動画を用意しメトロノームで参加者の運動を統制する環境であった.社会応用を見据えると,疲労や飽き等により動きのテンポが変わると同期運動が成立しないことがあり得る.そこで,本研究では情報学的・工学的なアプローチも取り入れ,Kinectで参加者の動きを認識してエージェントが自動で同期運動するようにした.さらに,実験の検討事項をクリアして同期運動の効果の頑健性も検討した.結果,同期条件では非同期条件に比べ,エージェントとの一体感,及びリハビリテーションやトレーニング時のエージェントの積極的な利用といった身体活動の印象が有意にポジティブになり,頑健性や効果を現場へ導入できる可能性が新たに示唆された.

  • Takuma IMAMURA
    原稿種別: ショートノート
    2022 年 34 巻 3 号 p. 669-672
    発行日: 2022/08/15
    公開日: 2022/08/15
    ジャーナル フリー

    Smarandache (2003) introduced a new set-valued fuzzy logic called (nonstandard) neutrosophic logic by using Robinson’s nonstandard analysis. However, its definition involved many errors including the illegal use of nonstandard analysis. In this paper, we provide a rigorous definition of neutrosophic logic. All the errors in the original definition are addressed. We then point out some paradoxes of neutrosophic logic. Finally we formulate neutrosophic logic with no use of nonstandard analysis.

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