知能と情報
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表紙
目次
巻 頭 言
特集: 「ソフトサイエンス」
解 説
報 告
用語解説
会 告
学会から
編集後記
一般論文
原著論文
  • 小田 紘久, 福永 智渉
    原稿種別: 原著論文
    2026 年38 巻2 号 p. 607-614
    発行日: 2026/05/15
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,情報理論の統合的な学習支援用Webシステム「情報理論ハンズオンセンター」の開発について報告する.一般的な書籍や教材では,個別の概念は理解できても,それらの概念を組み合わせて通信全体の流れを把握するのは難しかった.本システムでは,情報量・エントロピーなどの基礎的な概念から,ハフマン符号による情報源符号化,ハミング符号による通信路符号化などをインタラクティブに学習できる環境を提供する.個別の理論やアルゴリズムの体験だけでなく,送信者がハフマン符号・ハミング符号を用いて雑音のある通信路にメッセージを送信し,受信者が誤りを訂正しながらメッセージを復号する一連の過程を体験できる.学部生の協力による評価実験の結果,システム試用前後での理解度テストの点数には有意差は認められなかったが、5段階評価のアンケートでは「理解の促進度」の平均4.48,「内容の充実度」の平均4.28という評価を得た.

  • Yongzhi JIN, Kazushi OKAMOTO, Kei HARADA, Atsushi SHIBATA, Koki KARUBE
    原稿種別: 原著論文
    2026 年38 巻2 号 p. 615-623
    発行日: 2026/05/15
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル フリー

    In information recommendation, a session refers to a sequence of user actions within a specific time frame. Session-based recommender systems aim to capture short-term preferences and generate relevant recommendations. However, user interests may shift even within a session, making appropriate segmentation essential for modeling dynamic behaviors. In this study, we propose a supervised session segmentation method based on similarity features derived from action embeddings and attributes. We compute the similarity scores between items within a fixed-size window around each candidate segmentation point, using item co-occurrence embeddings, text embeddings of titles and brands, and price information as sources for these similarity features. These features are used to train supervised classification models to predict the session boundaries. We construct a manually annotated dataset from real browsing histories and evaluate the segmentation performance using F1-score, PR-AUC, and ROC-AUC. The LightGBM model achieves the best performance, with an F1-score of 0.806 and a PR-AUC of 0.831. These results demonstrate the effectiveness of the proposed method for session segmentation and its potential to capture dynamic user behaviors.

  • 小堀 佑樹, 酒井 浩之
    原稿種別: 原著論文
    2026 年38 巻2 号 p. 624-632
    発行日: 2026/05/15
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,ある分野に関する特許文書の集合から技術課題・解決手段をそれぞれ推定し,特許マップを自動的に生成することを目的とする.具体的には,特許文書から抽出した技術課題・解決手段に関する文章から,RoBERTaを使用して技術課題・解決手段に関する文を抽出する.次に,抽出した文を学習データとして,LLMのFew-shot Learningによって技術課題・解決手段に関する用語を推定する.推定された用語をクラスタリングし,意味が近い用語をまとめる.そして,クラスタリングされた技術課題・解決手段に関する用語を軸のラベルとして自動的に特許マップを作成する.評価では人手で作られた特許マップの軸ラベルと本手法によって推定された技術課題・解決手段の類似度を算出することで,本手法が特許マップとして適切な技術課題・解決手段を推定できたかを評価する.

  • 椎久 翔太, 竹内 勇剛
    原稿種別: 原著論文
    2026 年38 巻2 号 p. 633-645
    発行日: 2026/05/15
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル フリー

    小集団の意思決定では,各成員が自分の意見を自由に表明できるため,妥協や新たなアイデアが生まれやすいと考えられる.しかし,これまでの研究では,こうした創発的相互作用が合意形成や各成員の満足度にどのように影響するかについて十分な検証が行われてこなかった.本研究では,各成員の満足度を報酬に組み込んだ強化学習モデルを構築し,エージェントが議論の中で新たな意見を創発することで,合意形成と満足度にどのような影響を与えるかシミュレーションにより検証した.その結果,新たな意見によって個人の満足度が向上し,合意形成までのコストが削減されることが示唆された.また,言語を用いた現実世界への適応可能性や集団規模による意思決定過程の違いを大規模言語モデル(LLM)を用いた言語シミュレーションにおいても検証した.小集団では,エージェント全員がほぼ満足度の高い状態で議論を終え,議論の収束性が高いことが示された.一方,大集団では,満足度や意見の分散が顕著であり,意見の集約が困難であることが観察された.また,議論中に生成される単語や意思決定の構造にも違いがみられ,複雑な意思決定が求められる分野において,集団の規模や構成を適切に設計することの重要性が示唆された.

  • 河原 彩乃, 松﨑 光, 今井 倫太
    原稿種別: 原著論文
    2026 年38 巻2 号 p. 646-659
    発行日: 2026/05/15
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,ロボットがマナーを備え,人間に配慮した柔軟な行動をとることを目的として,LLMを用いて周囲の環境情報を基にマナー判定を行うインタラクションシステムJudging manner interaction system(Jmis)を提案する.人間とロボットの共存空間においてロボットは,人間の存在を積極的に配慮して柔軟な行動をとることや,与えられた指示を倫理的観点から判断し,不適切な場合には拒否する能力が必要となる.そこで,Jmisをロボットに導入することで,Jmisのマナー判定モジュールとマナー改善モジュールにより,ロボットがマナーを備え,人間に配慮した柔軟な行動をとることを実現する.マナー判定モジュールはLLMを用いてロボットがとる行動(目標,目標達成のためのアクション)が社会的マナーを守れているかを判定する.さらに,マナー改善モジュールでは,マナーを守れていないと判定された行動について,周囲の人間とコミュニケーションを図ることでマナーが改善されるのかをLLMを用いて判断し,発話内容を生成する.Jmisのマナー判定モジュールとマナー改善モジュールの有効性を検証するため,Jmisを導入したロボットの振る舞いに対する印象を調べる評価実験を行った.結果,シミュレーション環境と実環境のどちらにおいても,Jmisを用いたロボットの方が好ましさと知性の知覚の点で優れているという印象を実験参加者に与えることができた.また,マナーを備えたロボットの方が行動の意図が伝わりやすいことが示された.

ショートノート
  • 淺田 紘基, 工藤 卓
    原稿種別: ショートノート
    2026 年38 巻2 号 p. 660-664
    発行日: 2026/05/15
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,培養神経回路網を用いて,2連続刺激に対する応答活動から履歴依存的な神経活動を抽出する手法を提案した.神経活動を1 msの時間窓で区切り,同時発火電極の空間分布を瞬時空間パターンとして定義し,その連続データを画像化して畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に入力した.異なる刺激間隔条件で得られた画像を,深層CNNにより識別し,各刺激間隔条件の識別精度を履歴依存的な神経活動の発現指標として評価した.その結果,刺激間隔が長い条件では誘発応答パターンは互いに類似するため,識別精度が低下することが確認された.2つの誘発応答が異なって識別精度が高い期間は刺激間隔が1–2 s程度であり,この間,履歴は持続することが示された.また,識別寄与率の解析により,短い刺激間隔条件下ではスイープ間で発火時刻が揃う傾向があり,神経回路網の内部状態が一時的な安定状態を形成する可能性が示唆された.

  • 李 仕嘉, 重井 徳貴, 中村 嘉寛
    原稿種別: ショートノート
    2026 年38 巻2 号 p. 665-668
    発行日: 2026/05/15
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,TVOCから推定されるMOX型CO2センサのeCO2の出力が,気圧・温度・相対湿度といった環境要因に影響されるため,在室者数推定への直接利用が難しいという課題に対して,気圧を説明変数として組み込んだ回帰モデルに基づく較正法を提案する.MOX型センサと参照値として用いるNDIR型センサを同一環境に設置し,CO2,TVOC,温度,相対湿度,気圧の多日連続データを収集して較正モデルを作成する.気圧の導入によって精度が向上し,線形回帰,多重線形回帰,2次多項式回帰,ランダムフォレスト(RF)を比較した結果,最良のRFにおいては較正前に比べてRMSEの誤差が約42%改善した.在室人数推定においては,RFの回帰モデルを用い,CO2,照度,温湿度,時間に関する特徴量を説明変数に用いた手法を検討した.NDIRのみを用いた場合が最良であるものの,eCO2においては較正値を用いることで精度が改善し,照度と時間特徴を組み合わせることで,NDIR単独に近い精度が実現できることを確認した.

  • 細川 侑愛, 堀田 大貴
    原稿種別: ショートノート
    2026 年38 巻2 号 p. 669-673
    発行日: 2026/05/15
    公開日: 2026/05/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,国内最大級のオンラインフリーマーケットであるメルカリのレディースカテゴリ商品を対象に商品説明文におけるオノマトペの使用実態とそれが商品の売却状況に与える影響を分析した.「ぴったり」,「きらきら」,「さらっ」などの語が頻出していることが明らかになるとともに,頻出オノマトペの共起語を抽出し,クラスタリングを行うことで,オノマトペが使用される文脈を分析した.これらの結果から,商品の売れ行きはオノマトペと共起語を組み合わせた適切な文脈での記述に影響されている可能性を示唆した.

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