知能と情報
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原著論文
帰納推論による時系列データからの関係構造の抽出
スキル解析に向けたプラットフォーム
金城 敬太相澤 彰子古川 康一
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2009 年 21 巻 4 号 p. 587-597

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抄録

今日,スキルの分析が注目されている.スキル分析では協調動作のルール獲得が重要な課題となっており,複数センサーからの時系列データの分析において例えばある系列が状態Aのあと,しばらくして別の系列で状態Bが発生するという関係を扱う必要がある.しかし,現実には時系列データのみで状態が定義されていない入力を扱う状況も多い.こうした中,相関を中心に扱う従来の時系列分析ではデータのもつ時区間を持った特徴同士の関係が扱えないなど複雑な構造の扱いについて不十分な点があった.そこで本論文では,時系列データを状態の遷移系列に変換した上で,帰納的に時区間をもったデータのルールを獲得する手順を提案する.まず,我々は与えられた多変量な計測データのそれぞれの時系列データに対して,局所的に定常なモデルを推定していく.次に,このように推定したものをクラスタリングし,それぞれのクラスタに対して記号を与え,結果として各時系列データを記号の系列データにする.つづいて,得られた系列における記号に開始時点と終了時点を加えて,時区間表現系time-interval-symbol (TIS)に変換する.最後に得られたTISから帰納論理プログラミングを利用し,時区間関係ルールを抽出する.以上の方法を実データに用いた結果,チェロ演奏において有用な知見が得られることが確認できた.

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© 2009 日本知能情報ファジィ学会
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