抄録
従来,ワーピングは撮影機器中のレンズにより生じる歪み補正等で広く使用されてきた.近年では多くの映像作品や幅広い研究分野においても多用されており,これに関してメッシュワープやフィールドモーフィング・放射基底関数を用いた形状変化手法やB-spline変換(free-form deformation法)等,多くの手法が提案されている.このうちB-spline変換を基にしたfree-form deformation法はワーピング目標形状と実際のワーピング結果に多少の誤差を含有するものの,自然で滑らかな形状変化が可能な非常に有用なワーピング手法である.また,このワーピング誤差低減手法としてmulti-level B-spline変換という手法が提案されている.この手法はB-spline変換によるワーピングの特徴である自然さ・滑らかさを保ちつつ,誤差の低減を実現する手法である.しかしその反面,ワーピング誤差の低減に伴い従来のB-spline変換に比べ必要となる計算量も大幅に増加し,これが使用上のボトルネックとなっている.本論文ではこれらの問題を考慮し,適応的格子法と部分変形法という手法を提案することでB-spline変換・multi-level B-spline変換の計算時間削減と,ワーピング結果画像の見た目の自然さの向上を両立した.