知能と情報
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原著論文
実時間物体追跡に適した動的背景推定法と背景差分法
篠崎 眞太郎中島 克人
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2012 年 24 巻 2 号 p. 637-647

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抄録

動的背景推定・差分法は,変動の激しい画像において物体追跡のための大変有効な方法とされている.動的背景推定は,動画像中の時系列方向のフレームの同一座標において動的に逐次背景画素を推定する.本稿では,照度変動の影響を受けにくい色空間と,この空間上の色距離に基づく類似度を独自に定義し,高い平均類似度を持つ画素を背景と推定する比較的簡便で高速な動的背景推定法および背景差分法を提案する.提案手法では平均類似度の計算過程で得られる統計値を活用し,背景差分時に必要な閾値を自動決定する仕組みも示す.実験では公開されている背景差分用のデータセットを用い,5つの他手法と前景抽出の精度(Precision-Recall,Best F-measure)と処理時間の比較をおこなった.提案手法では,前処理としてメディアンフィルタを用いた方法と,縮小処理を行った後にメディアンフィルタを用いる方法で実験をおこなった.その結果,前者では,Best F-measureが他手法と同等かあるいはそれ以上であり,また処理速度はVGAサイズの画像に対して他手法より大幅に高速な24 fpsであることを確認した.また,後者では,Best F-measure が他手法に比べおよそ 10 ポイント前後高く,また処理速度は 100 fps となることから,実時間物体追跡などに適用可能である事を示した.

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© 2012 日本知能情報ファジィ学会
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