抄録
脳で考えただけで機器を操作させるインタフェース技術の開発が多数行われている.脳波ではなく酸素の変化量を使った計測手法を用いたNIRS-based BCIは非侵襲で安全であると言われている.しかし,BOLD信号を安定的に捉えることが難しいという側面もある.我々は,これまで手運動時のfNIRS 装置からのBOLD信号から左手・右手の運動の開始と終了の推定をする識別器の開発を行ってきた.実用化に向けた検討の中で,識別器にはSVMを用いることは最も良いとされている.また,被験者固有のパラメータを高速に導出し,使用者負担の少ないキャリブレーションシステムの開発を目指し研究を進めてきた.そこでは,識別器の汎化能力を維持しながら,コンパクトかつ高速に最適化しなければならない.そこで,最適化手法の一つである差分進化法を用いた探索手法を提案し,タッピング運動課題時のBOLD信号のデータを用いた実験を行った.実験結果から従来提案されている格子点探索方法よりも速く,かつコンパクトなSVMの最適化パラメータを見つけることが可能であることを示す.