2017 年 29 巻 2 号 p. 543-550
本論文では,圧電セラミック素子の内部の物理現象からモデリングを行い,圧電セラミック素子がフィードバックループを構成し,複数の機能を使えることを示した.これら機能をうまく使う知的デバイスの具体的な応用例として,トリアージにおける補助デバイスの要件を整理し,圧電セラミック素子の2つの側面,(1)焦電効果を検出する素子,(2)ブザーアクチュエータとしての素子が,トリアージ補助デバイスとして活用可能であることを検討した.簡易実験により,圧電セラミック素子が,呼吸数を検出できることを示し,検出した呼吸は,LEDの輝度変化による表示を行う.さらにプロセッサにより呼吸数をカウントし異常と考えられる場合,ブザー音で警報ができることを示した.提案したデバイスは,使い捨てのマスクに1つの圧電セラミック素子と,簡単な回路およびプロセッサにより実現でき少ないパーツでかつ原理的に安価に実現できる.