2021 年 33 巻 3 号 p. 657-662
フルボディ錯覚は自分のものではない人工的な身体をあたかも自分の身体であるかのように感じる錯覚である.本稿ではVR空間上の人型のアバターに対するフルボディ錯覚について調査した.被験者はアバターが街中を前に進むVR映像を見ながら,その場で足踏みを行った.その際,アバターと被験者が同じ視点である1人称視点とやや後上方からアバターを見る3人称視点,アバターの身体の動きと被験者の動きが一致している同期条件とアバターの動きが被験者より400 msまたは700 ms遅れる非同期条件,それぞれの組み合わせ(視点×同期条件)で実験を行った.その結果,視点に関わらず動きが同期していれば運動主体感は生起したが,身体所有感は1人称視点で同期しているときにのみ生起した.この結果は,VRを用いて自己投射を行うアプリケーションに対して重要な知見を与えるものであるといえる.