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原著論文
確率分布に基づく離散粒子群最適化におけるLévy flight の導入
伊原 滉也加藤 昇平
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2022 年 34 巻 1 号 p. 511-521

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抄録

粒子群最適化(Particle Swarm Optimization,PSO)は,本来連続値最適化を対象とした確率的最適化アルゴリズムであるが,離散最適化の分野でも様々な拡張がなされ多くの離散最適化問題において優れた成果を挙げている.このような離散問題への拡張では,単純な変数値の丸めにより適応度関数の形状が階段状になることを防ぐため,直接離散変数を扱う代わりに変数値(離散値)の生成モデルに関するパラメータ(連続値)を扱うことで,間接的かつ確率的に離散値を制御するアルゴリズムが存在する.このような確率分布ベースの離散PSO(DDPSO)は,各変数ごとに対応する確率分布から離散値をサンプリングすることで,候補解を生成する.しかし,この手続きでは確率的試行の反復により,PSOの位置速度更新が意図した探索点付近に解を生成できる確率が次元数に対して指数的に減少してしまう.本稿では,このサンプリング手続きにステップサイズの概念を導入し,そのステップサイズを任意の値に制御する新しいサンプリング手法を提案する.加えて,効率的な大域的ランダムウォークの一種であるLévy flight を倣いLévy分布に従ってステップサイズを設定することで,DDPSOの探索効率を向上させる.提案手法を3つの代表的なDDPSOアルゴリズムに対して適用し,関数最適化問題とNKランドスケープにおいて,それぞれの性能を元のアルゴリズムと比較した.実験結果から提案手法は全てのDDPSOの探索効率と次元数・変数の状態数・変数依存関係の強さに対する頑健性を向上させることが示された.更に,特徴量選択の最適化実験において,特徴量選択に特化して設計された4つの進化計算手法と比較して提案手法の優位性が示された.

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© 2022 日本知能情報ファジィ学会
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