日本口腔インプラント学会誌
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日中のブラキシズムがインプラント上部構造に与える影響
田邉 憲昌
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2016 年 29 巻 2 号 p. 79-85

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抄録

口腔インプラント治療の成功とは,インプラント体がOsseointegration することだけでなく,患者の満足する機能性や審美性の回復,そしてそれらを長期的に維持・安定させることを指している.一方,近年,口腔インプラント治療における合併症として,ブラキシズムなどの口腔悪習癖や過大な咬合力に起因するスクリューのゆるみやインプラント上部構造の破損等が問題となっている.特に上部構造の破損は,患者にとって術者による何らかのミスを連想させやすいことから,装着後に短期で破損などが起こると術者側への不信感につながる可能性もある.これらを未然に防ぐには,術前の検査で悪習癖をとらえ患者に情報提供することが望ましい.

一般にブラキシズムといえば夜間のグラインド運動を中心としたものが注目されがちであるが,近年,覚醒時に発生するクレンチングを中心とした非機能運動についても,その特徴や問題点が明らかとなりつつある.今後,日中のブラキシズムの原因解明が,口腔インプラント治療におけるさまざまな臨床上の問題を解決する手掛かりになるものと考えられる.

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© 2016 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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