日本口腔インプラント学会誌
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特集 長期予後を見据えたインプラント周囲の硬・軟組織の評価法を考える
  • 細川 隆司, 横山 紗和子
    原稿種別: 特集 長期予後を見据えたインプラント周囲の硬・軟組織の評価法を考える
    2023 年 36 巻 4 号 p. 217
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/05
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  • 神野 洋平
    原稿種別: 特集 長期予後を見据えたインプラント周囲の硬・軟組織の評価法を考える
    2023 年 36 巻 4 号 p. 218-223
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル フリー

    インプラント体周囲硬組織の評価は,治療計画の立案から経過観察に至るまでのすべてのタイミングにおいて治療の成功・失敗に直結する重要事項である.臨床現場における主な硬組織評価法はエックス線診断・埋入トルク値の計測・共振周波数解析であり,非常に有効な評価方法であることがすでに多くの基礎研究・臨床研究で示されている.さらなるインプラント治療の高い成功率の達成のためには,これらの硬組織評価方法では評価できない骨内変化を理解することが必要であると考えている.本論文では主に埋入術式の違い,荷重負荷の有無による骨内変化に焦点を当てて解説する.

    研究データの積み重ねにより,解剖学的なリスクの回避,適切な部位への埋入といった従来の評価基準に加え,適切な埋入術式,適切な荷重負荷開始時期,さらには周囲骨吸収の予測などが術前に評価可能となるオーダーメイド型の硬組織評価法が構築されていくことを期待している.

  • 黒嶋 伸一郎, 中野 貴由, 澤瀬 隆
    原稿種別: 特集 長期予後を見据えたインプラント周囲の硬・軟組織の評価法を考える
    2023 年 36 巻 4 号 p. 224-231
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル フリー

    多くの科学的根拠が集積している歯科インプラント治療は,欠損を補う優れた治療術式の一つであるが,近年では患者の高齢化,服用薬物,全身疾患,高い要求度などから治療が困難もしくは複雑な場合も多く認められている.そのようななかで我々は,骨質という言葉を臨床現場でよく使用しているが,骨質を正確に理解することは難しく,さらには骨質を非破壊的(非侵襲的・低侵襲的)に測定/評価することもきわめて困難である.

    そこで本総説論文では,2000年に米国国立衛生研究所が提言した骨質について解説するとともに,我々が行ってきた基礎研究や非臨床試験などを簡単にご紹介しながら,今までほとんど解明されてこなかった荷重環境下/非荷重環境下におけるデンタルインプラント周囲の骨質について明らかになってきたことを解説する.さらに,近年,非破壊的に骨質を測定/評価する方法と装置が考案されたことから,この点についてもご紹介しようと思う.本論文をお読みいただいて,ぜひ骨質に対する理解を深めていただきたい.

特集 インプラント治療の術前後のトラブル対応に役立つ薬剤の知識
  • 真野 隆充
    原稿種別: 特集 インプラント治療の術前後のトラブル対応に役立つ薬剤の知識
    2023 年 36 巻 4 号 p. 232
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 研一
    原稿種別: 特集 インプラント治療の術前後のトラブル対応に役立つ薬剤の知識
    2023 年 36 巻 4 号 p. 233-247
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル フリー

    近年はCTが歯科臨床に登場し,さらにはガイデッドサージェリーなども普及して,より安全な医療を提供する医療機関が増加している.これと相まってインプラントによる神経障害件数は漸減傾向にあるが,不幸にもインプラントにより神経障害が発症した場合には患者の生活は一変し,日常生活に支障をきたす場合もある.したがって神経障害に対しては正確な診断が重要であり,その診断に基づいて治療法が選択される.神経障害(損傷)における各種薬剤の選択は末梢神経の各種病態(損傷形態)により異なり,その後の対応(神経修復手術を行うか否かなど)によっても異なる.さらに部分的あるいは完全なNeurotmesisでは時間とともに外傷性神経腫が形成されることが多く,正確な診断に基づくこれらの病態を踏まえた薬剤の使用が重要である.

    インプラント治療を行う者は,神経障害に対する治療の流れや薬剤選択の根拠,使用法などを理解する必要がある.また,神経修復手術は手術用顕微鏡を使用するきわめて特殊な手術で,このようなマイクロサージェリーは40歳までの若いうちに習得する必要があると言われており,安易に手を出すべきではない.いたずらに投薬や経過観察に終始せず,早期に専門の神経検査や神経修復手術が可能な口腔外科を受診させるべきである.専門医療機関(紹介先)が遠方の場合は,連携を取りながら診断,治療を進めることとなるため,一次医療機関でもSeddonの3分類(Neurapraxia,Axonotmesis,Neurotmesis)および外傷性神経腫による神経障害性疼痛の薬剤使用について理解しておく必要がある.

  • 服部 洋一, 高岡 一樹, 岸本 裕充
    原稿種別: 特集 インプラント治療の術前後のトラブル対応に役立つ薬剤の知識
    2023 年 36 巻 4 号 p. 248-256
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/05
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    インプラント治療を希望する患者が全身合併症を有し,薬剤を使用していることはしばしばある.長期的にインプラントを安定させるためには,歯科医が処方する薬剤はもちろん,医科で処方される薬剤に関しても適切な知識をもつことが必須であり,常に知識のアップデートが求められる.

    歯科医が処方する薬剤として,抜歯やインプラント治療のいずれにおいても抗菌薬の予防投与は手術直前に行うべきであり,抗菌スペクトルおよびバイオアベイラビリティの面からアモキシシリンの使用を推奨する.鎮痛薬は腎障害など副作用の多いNSAIDsの使用は避け,アセトアミノフェンの使用を推奨する.

    一方,医師が処方する薬剤として,直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)を使用している患者では,ワルファリンにおけるPT-INRのような有効なモニタリング指標はないが,半減期を考慮し手術時間を調整することで出血リスクを減らすことができる.骨粗鬆症で骨吸収抑制薬を使用している患者にインプラント手術は禁忌ではないが,薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)リスクを十分考慮したうえで行う.インプラント関連MRONJは,埋入手術でなく,インプラント周囲炎を契機に発症するものが多くを占めており,治療計画の立案における配慮が求められる.

  • 崎山 広大, 藤枝 雄一郎, 渥美 達也
    原稿種別: 特集 インプラント治療の術前後のトラブル対応に役立つ薬剤の知識
    2023 年 36 巻 4 号 p. 257-261
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル フリー

    関節リウマチ(RA)は続発性骨粗鬆症の代表的な原因疾患であり,骨吸収抑制薬がよく用いられている.一方で,骨吸収抑制薬などの薬剤に関連した薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)は,頻度は低いが重大な合併症であり,本邦からもポジションペーパーが発刊されている.MRONJ発症の大きな要因は骨吸収抑制薬の投与に加え,侵襲的歯科治療による局所感染と考えられている.RA患者は通常の骨粗鬆症患者と比較してMRONJの発症リスクが高く,かつ免疫抑制薬やグルココルチコイドの投与によって感染に対して脆弱になっており,治癒困難になるリスクがより高い.また,骨吸収抑制薬の休薬によるMRONJ発症予防効果は証明されておらず,RAにおけるMRONJ対策は口腔内衛生の改善や骨吸収薬投与前の歯科治療を徹底することが最も重要である.RAにおけるMRONJの発症率を低下させ,患者の予後を改善するために,医師と歯科医師との連携が非常に重要である.

症例報告
  • 長 太一, 三上 格, 板橋 基雅, 吉村 麻里奈, 齋藤 紘子, 上林 毅, 吉谷 正純, 吉谷 夏純, 吉村 治範, 長 清美, 平松 ...
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 36 巻 4 号 p. 262-267
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル フリー

    今回我々は,2012年に健康保険導入された広範囲顎骨支持型装置を用いて,歯科矯正治療と骨造成術を併用し,医療保険の範囲で部分無歯症に対して包括的な治療を行った.

    患者は32歳の女性で,2016年6月に下顎乳前歯の動揺による咀嚼障害の改善を希望し当科に受診した.既往歴はなく,家族歴は妹も先天性部分無歯症(congenital oligodontia)であった.上下顎で18歯の欠損と上顎前歯の正中離開を認めた.歯科矯正治療終了後の2016年8月,全身麻酔下に上下顎乳歯抜歯,上顎前歯部自家骨移植(両側下顎隆起より採取)による骨造成術およびインプラント体(Nobel Active,Nobel Biocare,Göteborg,Sweden,14部にΦ4.3×10 mm,13部にΦ3.5×13 mm,12部にΦ4.3×13 mm,22部にΦ3.5×11.5 mm,23部にΦ3.5×13 mm,32部にΦ3.5×10 mm,35部にΦ5×13 mm,42部にΦ3.5×10 mm,45部にΦ5×13 mm,計9本)埋入手術を施行した.術後7か月経過時の2017年2月にプロビジョナルブリッジを装着し,2017年11月に最終上部構造を装着した.現在,最終上部構造装着後5年6か月となるが良好に経過している.

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