日本口腔インプラント学会誌
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最新号
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総説
  • 関野 愉
    原稿種別: 総説
    2022 年 35 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー

    インプラント周囲炎は,バイオフィルムに起因する炎症性疾患で進行するとインプラントの脱落を誘発する.その予防のためには,プラークコントロールを主体としたメインテナンスが重要と考えられる.そこで,インプラント治療後にメインテナンスを続けた場合と受けなかった場合の予後を比較した文献の検索を行った.検索の結果,3編の後ろ向きコホート研究がヒットし,それらを引用した.3編すべてにおいて,メインテナンスを5年以上続けたインプラント患者と比較してメインテナンスを行わなかった患者において,インプラント周囲炎の発症率が高かった.以上のことから,インプラント治療後の口腔衛生を主体としたメインテナンスの継続は,インプラント周囲炎予防のために重要であるので,強く推奨される.

原著(基礎研究)
  • 村上 高宏, 熱田 亙, 岩本 麻也, 菅野 岳志, 伊藤 準之助, 村上 修一, 田中 譲治
    原稿種別: 原著(基礎研究)
    2022 年 35 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー

    現在,多くのメーカーが独自に口腔内スキャナーの開発を行っているが,それらのインプラント位置再現性についてはいまだ不明な点が多い.そこで本研究では,上顎左側中切歯欠損症例を想定した顎模型を用いて,各種口腔内スキャナーを用いた光学印象法と従来のシリコーン印象法でインプラント位置再現性の比較検討を三次元解析ソフトにて行った.

    上顎石膏模型の21相当部にインプラント体を埋入し,マスターモデルを製作した.マスターモデルにスキャンボディを装着し,高精度スキャナーを用いて,マスターモデルの基本データを取得した.その後,通法のオープントレー法を用い,マスターモデルの作業模型を製作し,スキャンボディを装着した後で,高精度スキャナーを用いてデータを取得した(IMP).次に,各種口腔内スキャナー(Primescan:PRS,Trios3:TR3,Trios4:TR4,iTero element 5D:IT5)を用いて光学印象を行い,それぞれマスターモデルのデータを5回取得した.取得したデータは三次元解析ソフトにインポートし,基本データとIMP,PRS,TR3,TR4,IT5それぞれを重ね合わせ,比較検討した.統計処理の結果,PRS,TR3,TR4,IT5の間で適合率の統計学的な有意差を認めなかったが,PRS,TR3,TR4,IT5とIMPの間では有意差を認めた.各種口腔内スキャナーのインプラント位置再現性の比較検討を行った結果,口腔内スキャナーを用いた光学印象法は,シリコーン印象法よりも高いインプラント位置再現性を示した.

  • 浅川 和也, 前川 修一郎, 今上 英樹, 老川 秀紀, 渥美 美穂子, 佐々木 かおり, 奥森 直人, 武本 真治
    原稿種別: 原著(基礎研究)
    2022 年 35 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー

    目的:歯科用インプラントに応用されているチタンやその合金は,フッ化物含有溶液中で腐食することが知られている.本研究では,純チタンとチタン合金のフッ化物溶液中での腐食挙動を,金属材料の耐食性評価に効果的な電気化学測定により明らかにし,インプラントとしての耐食性を明らかにすることを目的とした.

    方法:試料は純チタン(TI),Ti-6Al-4V(TAV)およびTi-7Nb-6Al(TNB)を研磨して用いた.溶液は生理食塩水(SAL)とNaFを含む生理食塩水(NAF)とした.電気化学測定は,ポテンショスタットを用いて37℃に保持した溶液中で,60分までの開回路電位(OCP),分極抵抗値(Rp),アノード分極曲線から不動態保持電流密度(I300およびI500)で評価した.

    結果:SAL中では純チタンおよびチタン合金の60分までのOCP曲線は安定し,Rp値,I300およびI500値から優れた耐食性を示した.一方で,NAF中でのOCP曲線はいずれのチタン合金も徐々に電位が低下し,測定30分以降で急激な電位低下が起こった.また,NAF中でのRp値はSAL中と比較して明らかに小さかった.NAF中でのI300およびI500値はSAL中より大きく,その値はTAVおよびTNBのほうがTIより大きくなり,TAVが最も大きかった.

    結論:SAL中では純チタンおよびチタン合金も優れた耐食性を維持していた.一方で,NAF中では純チタンおよびチタン合金でも不動態被膜の破壊が起こったが,そのフッ化物による腐食程度は,TIよりTAVおよびTNBで起こりやすいことが示唆された.

症例報告
  • 荒井 昌海, 尾立 哲郎, 佐藤 優樹, 片山 翔一, 櫻井 祐弥, 松尾 一樹, 石渡 弘道, 澤瀬 隆
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 35 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー

    無歯顎患者に対する固定性インプラント上部構造は,高いインプラントの残存率とともに,信頼性の高い補綴方法と報告されている.しかしながら長期にわたる機能のなかで,上部構造の破損や摩耗を生じ,上部構造の再製作が必要になることも少なくない.今回デジタル機器を十分に活用し,2回の来院で最終補綴装置を製作する方法を検証したので報告する.

    患者は55歳,男性.上下無歯顎で,インプラントフルブリッジの摩耗や破折による咀嚼困難を訴え来院した.2010年に上下顎それぞれにインプラントが4本埋入され,その上部構造としてアクリルレジン製のフルブリッジを装着されていた.約10年間使用していた補綴装置は,人工歯や歯肉色レジンの摩耗や損傷が著しかった.旧補綴装置の修理後,プロビジョナルレストレーションとして使用しながら,咬合および粘膜面の形態を調整した.最終補綴装置製作にあたり,2021年3月にインプラント位置スキャン用の新規スキャンゲージ,旧補綴装置スキャン用のスキャンアナログ,および口腔内スキャナーを用いて1回の来院で口腔内と旧補綴装置のスキャンを終了し,2回目の来院でジルコニアフルブリッジを装着した.

    本法は,患者来院回数を減らすだけでなく,アナログによる印象採得に伴う患者の苦痛や,術者のチェアサイドの手技を減じることができ,かつきわめて高い精度での複製が可能であることから,非常に有用な方法であることが示された.

  • 成瀬 啓一, 樋口 大輔, 宇田川 信之, 矢島 安朝
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 35 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/04/25
    ジャーナル フリー

    これまで海外では多くの骨補塡材が開発,使用されてきたが,日本国内では薬事未承認のものが多く,特に歯科用インプラントに対しては,日本で薬事承認された骨補塡材がなかった.近年,吸収性炭酸アパタイトを主成分とした骨補塡材が日本国内で初めて歯科用インプラントへ適用承認され,臨床応用されている.しかし,この骨補塡材を使用した歯槽骨造成の報告はない.今回,この骨補塡材を用いてサイナスリフトと同時に歯槽骨造成を行った症例を経験したので報告する.

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