日本口腔インプラント学会誌
Online ISSN : 2187-9117
Print ISSN : 0914-6695
ISSN-L : 0914-6695
最新号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
総説
  • 宮﨑 隆
    原稿種別: 総説
    2021 年 34 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    日本口腔インプラント学会は,1972年に個別に創設された2つの前身学会,すなわち日本デンタルインプラント研究会ならびに日本歯科インプラント学会が1986年に統合して発足した.本稿ではわが国にインプラント歯科治療が導入され,新生日本口腔インプラント学会の誕生までの約30年間について,学会活動を牽引してきた先達の活動を中心に解説した.学会統合が容易でないなかを,当時の指導者が将来を見据えて短期間で統合を果たしたことを誇りに思う.学会創立50周年を迎えるにあたり,本学会の今後のさらなる発展のために,黎明期の歴史と先達の情熱を会員が共有して邁進していきたい.

  • 山下 佳雄
    原稿種別: 総説
    2021 年 34 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    デンタルインプラントの有用性は,十分なエビデンスをもって証明され,補綴治療の一手段として広く臨床の現場で用いられるようになって久しい.

    しかし一方で,インプラント手術における事故も多数報告され,社会的にも問題視されている.その多くが神経麻痺,出血,インプラントの迷入,心身医学的障害といった事例であり司法がかかわる事例も少なくない.インプラント治療は外科処置であり,常にリスクと背中合わせであることを治療医は覚悟しておかなくてはならない.

    これらの事故を回避するために近年,ガイデッドサージェリーも普及し一般的になってきたが,本来,ガイデッドサージェリーは事故を回避するための目的だけではなく,予後を予見し精度の高いインプラント手術を完遂するためのものであることをわれわれは再認識しなくてはならない.デジタルに依存していれば事故はないという誤った風潮は非常に危険である.

    インプラント手術も含めた歯科外科処置において,最も大切なことは解剖に精通しておかなくてはならないことである.つまり頭蓋形態小変異に関する知識も十分に備えておかなくてはならない.これまでの事故の多くは,解剖を熟知できていなかったがための症例が多く,言葉を換えれば事故から学ぶべきものは多い.咬合,つまり補綴的な観点はインプラント治療成功の鍵であることは否定しようがないが,インプラント手術に際しては,人体の構造を無視することはできない.

  • 大久保 力廣
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 総説
    2021 年 34 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    従来の支持系にインプラントを加えて義歯の安定を図るインプラントデンチャー治療が超高齢社会の進展に向けて見直されている.外科的侵襲が少なく,清掃性や審美生に優れるといった利点に加え,変化への対応が容易であることは,将来的に自立度の低下を招く可能性がある高齢患者に非常に適したインプラント治療法と認識できる.特に2本のインプラントで支持された下顎のオーバーデンチャー(2-IOD)は,非常に高い成功率に加えて,高齢患者のQoLを大幅に向上できることから,無歯顎治療の第一選択肢となりえ,機能回復,患者満足度,コスト,治療に要する時間などから,信頼性と有効性が非常に高い治療法であることが示されている.

    一方,わが国では無歯顎より部分欠損歯列が多くなることが将来推計されている.したがって,パーシャルデンチャーによる健全歯列への回復と長期保持が今後の欠損補綴の重要な役割と考えられる.インプラントの強固な支持能力を利用するインプラントパーシャルデンチャー(IRPD)は,従来のパーシャルデンチャーの安定性や機能を一変させる有効な治療法であり,健康寿命の延伸に不可欠な診療オプションになると期待される.

    本稿では文献レビューと著者自身が行ってきたインプラントデンチャーの予後を振り返りながら,安全で確実なインプラントデンチャーを長期に機能させるための基本的な考え方を整理する.

  • 宮本 洋二, 栗尾 奈愛, 工藤 景子, 髙丸 菜都美
    原稿種別: 総説
    2021 年 34 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    歯科インプラント治療は外科治療と補綴治療の複合的な治療法で,生命にかかわるような種々の医療事故が生じる可能性がある.よって,歯科医師は口腔外科の基本的な手技を習得したうえに,インプラント手技を習得することが大切である.そして,患者に安全なインプラント治療を提供することが歯科医師の使命である.本総説では,インプラント治療に有用な口腔外科的手技を解説し,医療事故の予防法と対処法について述べた.

特集 AIによる医療革命に備える:歯科界はAIの進歩にどのように対応するのか?
  • 窪木 拓男, 西郷 慶悦
    原稿種別: 特集 AIによる医療革命に備える:歯科界はAIの進歩にどのように対応するのか?
    2021 年 34 巻 1 号 p. 33
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー
  • 山口 高平
    原稿種別: 特集 AIによる医療革命に備える:歯科界はAIの進歩にどのように対応するのか?
    2021 年 34 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    本解説では,現在,進行中である第三次AIブームの中心技術である,ディープラーニングについて説明した後,ボードゲームの世界ではプロ棋士がAIに勝てなくなっている状況,視覚運動の最大の応用である自動運転車について,米国では自動運転タクシーが実用化され,中国ではスタートアップ企業の進展が著しいこと,ビッグデータを利用した予測AIが犯罪予測や食欲予測に利用されていること,知識に基づき議論・討論するAIでは,クイズAIワトソン,平均的な人と討論すれば勝利するProject Debater,知識グラフを利用したQAロボットを紹介し,多様な知能を統合したAIロボットとして,クラスルームAIとマルチロボット喫茶店を紹介する.この後,AIによる外科手術,およびAIによる歯科医療の最近の研究について紹介し,最後に,人とAIが協働する未来社会を展望する.

  • 池野 文昭
    原稿種別: 特集 AIによる医療革命に備える:歯科界はAIの進歩にどのように対応するのか?
    2021 年 34 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    デジタルテクノロジーによる第四次産業革命が叫ばれ,すでに数年が経過しているが,コロナ禍により,世界中でデジタルトランスフォーメーションが一気に進んでいる.そして,医療においても,第四次産業革命が進行している.デジタルテクノロジーは,私がいるシリコンバレーがまさにその発信地であり,さまざまなイノベーター・起業家たちが社会問題を解決するためにこのコロナ禍においても日夜,挑戦し続けている.今回は,そのシリコンバレーにおける第四次産業革命に焦点をおいて,イノベーションの起こし方,コロナ禍における医療へのデジタルトランスフォーメーションの影響について,簡単に報告させていただく.

原著(臨床研究)
  • 藤井 政樹, 立川 敬子, 下岸 将博, 山口 葉子, 宗像 源博, 春日井 昇平, 尾関 雅彦
    原稿種別: 原著(臨床研究)
    2021 年 34 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    本研究は,インプラントの免荷期間中に義歯を使用することによるインプラント治療への影響を調査することを目的とした.東京医科歯科大学歯学部附属病院インプラント外来において,2002年4月から2015年3月の間に治療した下記の5つの条件をすべて満たした症例を対象とした.①ブローネマルクインプラントシステム,②連続3歯以上の欠損,③2本以上のインプラント埋入,④二回法,⑤埋入時のインプラント体粗面の露出・骨移植なし.調査内容は,年齢,性別,欠損部位(上顎または下顎),治癒期間中の義歯の装着の有無,二次手術までのインプラントの早期脱落・撤去本数,残存率と骨吸収の有無とした.

    症例は177症例,インプラント埋入595本(男性295本,女性300本),平均年齢61.7±9.8歳(男性63.7±8.0歳,女性60.0±10.8歳)であった.義歯装着群ではインプラント残存率は97.5%,義歯不使用群では残存率は99.6%であり,両者の間に統計学的に有意な差が認められた.また義歯装着群における骨吸収ありは9.2%,義歯不使用群における骨吸収ありは0.4%で,両者の間に統計学的に有意な差が認められた.インプラント体周囲の骨吸収に対する義歯の装着の有無と性別および上下顎との間には統計学的有意差は認められなかった.本研究より,インプラントの治癒期間中の義歯の使用は,インプラントの残存率を低下させ,インプラント体周囲の骨吸収を増加することが確認された.

原著(基礎研究)
  • 高橋 佑次, 内堀 聡史, 古市 嘉秀, 續橋 治, 渕上 真奈, 加藤 仁夫, 小林 平, 村上 洋
    原稿種別: 原著(基礎研究)
    2021 年 34 巻 1 号 p. 52-60
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    近年,メタトランスクリプトーム解析による研究でCorynebacterium durumがインプラント周囲炎細菌叢において特異的,かつ中核を担っている細菌であることが報告された.そこでC. durumに着目し,本菌の選択培地を開発することにより,培養法を用いてインプラント周囲炎における本菌の分布を詳細に調査し,C. durumがインプラント周囲炎の病態推移の把握に有用な指標となりうるかを検討した.また,菌種同定に有用な口腔に関連したCorynebacterium属6菌種を対象としたMultiplex PCR法の開発も行った.

    本研究で開発したMultiplex PCR法とC. durum選択培地は,C. durumを正確に同定・検出することが可能であった.次に,本選択培地を用いて,インプラント周囲炎患者20名および健常者20名のインプラント周囲溝滲出液中におけるC. durumの検出頻度と菌数を調査した.菌種同定には,開発したMultiplex PCR法を用いた.

    その結果,インプラント周囲炎患者ではC. durumが全被験者から検出されたが,健常者では11名(55%)のみから検出された.さらに,インプラント周囲炎患者におけるC. durum数は,健常者と比較して有意に多かった(p<0.05).

    以上のことから,C. durumがインプラント周囲炎に対して特異的な細菌であることが示唆された.

  • 村上 高宏, 田中 眞治, 菅野 岳志, 坂倉 美菜子, 今田 裕也, 木村 健二, 田中 譲治
    原稿種別: 原著(基礎研究)
    2021 年 34 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    近年,口腔内スキャナーの適応症例は拡大しているが,インプラント体間の距離が大きくなるとインプラント位置再現性は低下してしまうことが知られている.そこで本研究では,口腔内スキャナーサポートシステムの有用性を検証するため,通法の光学印象法,口腔内スキャナーサポートシステムを用いた光学印象法,シリコーン印象法のスキャニングデータをそれぞれ取得し,三次元解析ソフトにて比較検討を行った.まず,上顎無歯顎石膏模型に6本のインプラント体を埋入し,マスターモデルを製作した.その後,インプラント体にスキャンボディを装着し,基本データの取得を行った.次に,口腔内スキャナーを用い,通法の光学印象を行った場合(IOS)と口腔内スキャナーサポートシステムを併用し光学印象を行った場合(IOS-SP)でマスターモデルのスキャニングデータを取得した.シリコーン印象法の作業模型を製作するため,ベリフィケーションインデックスを利用して印象採得し,ストローを用いて二回法で石膏を注入した.その後,作業模型のデータを取得した(IMP).取得したデータは基本データとIOS,IOS-SP,IMPそれぞれを解析ソフトにて重ね合わせ,適合率とカラーマッピングにて評価を行った.その結果,IOS-SPの適合率が最も高い値を示し,統計学的な有意差を認めた.以上より,口腔内スキャナーサポートシステムを通法の光学印象法に応用すると,インプラント位置再現性は向上することが明らかとなった.

症例報告
  • 藤関 雅嗣, 藤関 元也, 梅原 一浩, 小林 恒, 木村 博人
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 34 巻 1 号 p. 69-77
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    近年,歯科用CBCTの普及やガイドシミュレーションソフトならびに3Dプリンターの発達により,インプラントの埋入精度は飛躍的に向上した.今回の症例では,同一歯列内に天然歯とインプラントが存在する状態で受圧条件と加圧因子の均衡を図るため,咬合面一体型のリジッドサポートなインプラントオーバーデンチャー(IOD)を設計して装着した.

    約7年間の経過観察中に残存歯2本が抜歯となったため,インプラントをガイデッドサージェリーで追加埋入した.その結果,上部構造を再作製せずにわずかな改変のみでIODが継続的に使用可能となり,口腔機能が良好に維持され患者の満足が得られたので報告する.

  • 中居 伸行, 大月 基弘, 横谷 亜希子, 村井 健二, 村田 比呂司
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 34 巻 1 号 p. 78-83
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    本症例報告では,59歳の女性にインプラント周囲炎が発症し,治療後8年経過観察した結果を報告する.初診時,10年ほど前に他院で埋入した機械研磨表面を有する46部インプラント周囲に深いポケットと著明な出血を認め,デンタルエックス線写真を撮影したところ,インプラント周囲炎を疑うインプラント周囲骨吸収が確認された.初期治療後,インプラント周囲炎と確定診断し,炎症の消退とポケットの減少を目的として,切除療法を行うこととした.まず,インプラント周囲粘膜に対し全層弁を形成,剥離し,キュレットでインプラント周囲の不良肉芽組織を除去した.骨欠損形態は全周にわたる垂直性骨欠損と頬側に裂開を認め,SCHWARZの分類Class Icに相当する状態であった.インプラント表面が機械研磨表面とわかったため,生理食塩水を含んだガーゼの小片で清掃し,その後粘膜弁を根尖側に位置づけ縫合した.抗菌薬は投与しなかった.3カ月後には粘膜の退縮とともにポケットの減少,炎症の改善を認め,以降良好なコンプライアンスの下,歯科衛生士によるメインテナンスが継続された.1年後にはデンタルエックス線写真上で,インプラント周囲の骨レベルの回復を認め,健常なインプラント周囲組織が維持されていることが確認できた.8年経過した現在では,退縮していたインプラント周囲粘膜レベルも改善した.

  • 林 昌二, 古谷田 啓子, 山田 千恵, 保母 恭子, 山川 理代, 堀田 直花, 徳増 奈央美, 富樫 敏夫
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 34 巻 1 号 p. 84-90
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2021/04/25
    ジャーナル フリー

    使用中の清掃困難な固定式上部構造の一部を改造して,清掃性に優れた電鋳テレスコープ義歯に改良した結果,良好な予後が得られたので報告する.

    患者は77歳の女性で,上顎無歯顎欠損に6本のインプラントが埋入され,セメント固定の上部構造が装着されていたが,清掃が困難でインプラント周囲に大きな違和感を感じ,可撤式補綴装置の新製を希望した.そこで,既存のアバットメントを内冠として応用し,外冠にはアバットメントを印象採得し,得られた電鋳用模型から適合精度に優れた電鋳加工法を用いて電鋳コーピングを製作し外冠として応用した.そのコーピングが上部構造体内部に適合するように削合,調整し,口腔内で内外冠を装着した状態で電鋳外冠を上部構造内にセメント装着し,硬化後に内外冠を離脱させ,電鋳テレスコープ義歯が完成した.その結果,患者は3回の来院回数で義歯改造が完了し,同時に治療費も削減され,セルフケアが容易になり,インプラント周囲の出血,疼痛や違和感は消失し,良好に経過している.

エラータ
feedback
Top