日本口腔インプラント学会誌
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総説
材料学からみたインプラント治療の未来予測
吉成 正雄
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2017 年 30 巻 2 号 p. 47-56

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抄録

チタンは,優れた耐食性と生体適合性を有し適度な機械的性質を有することから,現在でも最も使用頻度が高いインプラント用材料である.しかし,金属であるチタンのデメリットが指摘されるようになり,それに代わって,金属イオン溶出の懸念がなく審美性に優れるジルコニアを使用した「メタルフリー・インプラント」がヨーロッパにおいて普及しており,日本においても近い将来に臨床応用が増加すると予想される.また,近年,デジタル技術を駆使したテーラーメイド歯科医療の普及につれ,口腔インプラントも患者個人の顎骨に適合した,例えば,顎骨の解剖学構造に適応し,天然歯と近似したメカニカルストレスを顎骨に与えることのできる「複根歯インプラント」などが応用される可能性がある.さらに表面改質技術の進歩に伴い,骨組織に接する部位のみでなく,軟組織適合表面やバイオフィルム難付着表面などが実現すると思われる.そして,上記が相乗的に機能した「テーラーメイド・生体多機能化インプラント」すなわち,患者個人の顎骨構造に適応し,インプラントが接する各組織に適合したインプラントがデンタルファブラボ(Dental FabLab)技術を利用することにより可能となり,臨床応用が現実のものになる可能性は大きい.

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© 2017 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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