2022 年 35 巻 4 号 p. 255-261
我が国では,1985年にハイドロキシアパタイト(HA)が人工骨として歯科適応の承認を受けて以来,さまざまな骨補塡材が開発・販売され,臨床応用されてきた.しかし,インプラント治療における骨補塡・骨再生(インプラント体埋入を前提とした骨再生)の適応が承認されているのは,現在のところ,炭酸アパタイト顆粒とリン酸オクタカルシウム(OCP)/コラーゲン複合体の2種類のみである.
我々はこれまで,歯科の適応は承認されているが,インプラント治療での適応が認められていない骨補塡材を細胞培養や動物実験などで評価してきた.本総説では,これまでに評価してきた骨補塡材のなかでも優れた骨伝導能が認められた超多孔質HA顆粒に加えて,低結晶HA/コラーゲン複合スポンジの特徴と適応を解説し,それらを用いた骨造成症例を紹介する.