日本口腔インプラント学会誌
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特集 長期予後を見据えたインプラント周囲の硬・軟組織の評価法を考える
骨質への理解がもたらすこれからのインプラント治療
黒嶋 伸一郎中野 貴由澤瀬 隆
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2023 年 36 巻 4 号 p. 224-231

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抄録

多くの科学的根拠が集積している歯科インプラント治療は,欠損を補う優れた治療術式の一つであるが,近年では患者の高齢化,服用薬物,全身疾患,高い要求度などから治療が困難もしくは複雑な場合も多く認められている.そのようななかで我々は,骨質という言葉を臨床現場でよく使用しているが,骨質を正確に理解することは難しく,さらには骨質を非破壊的(非侵襲的・低侵襲的)に測定/評価することもきわめて困難である.

そこで本総説論文では,2000年に米国国立衛生研究所が提言した骨質について解説するとともに,我々が行ってきた基礎研究や非臨床試験などを簡単にご紹介しながら,今までほとんど解明されてこなかった荷重環境下/非荷重環境下におけるデンタルインプラント周囲の骨質について明らかになってきたことを解説する.さらに,近年,非破壊的に骨質を測定/評価する方法と装置が考案されたことから,この点についてもご紹介しようと思う.本論文をお読みいただいて,ぜひ骨質に対する理解を深めていただきたい.

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© 2023 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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