日本口腔インプラント学会誌
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症例報告
水平的な歯の移動を審美領域に用いたインプラント治療の12年経過
和田 義行和田 香織吉村 麻里奈長谷川 健森下 長前田 大輔堀 聖尚松沢 祐介山口 一史上林 毅三上 格吉村 治範
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2025 年 38 巻 2 号 p. 145-155

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抄録

抜歯後の審美領域では硬組織・軟組織の萎縮により,インプラント治療の際に外科的組織造成が必要になることが多く,手術侵襲,偶発症および長期安定の点でリスクを伴う.Zachrisson(2003)は,歯を無歯領域に矯正移動すると歯周組織はともに移動し,後のスペースにインプラント体を埋入できることを報告した.我々は水平的な歯の移動を審美領域インプラント治療に応用し,長期的に良好な結果を得た.患者は40歳,女性.21歯根破折により抜歯と診断され,抜歯後に骨組織と軟組織に大きな欠損が生じると予想された.患者は外科的な硬組織・軟組織造成や生物由来材料の使用を拒否したため,22を21部へ移動し22部にインプラント埋入を計画した.21抜歯後,22を矯正治療により移動すると,移動後には広い歯槽堤と角化粘膜および十分な幅と高さがある骨組織が形成され,インプラント体を外科的骨造成なしに埋入できた.11と21(元の22)をラミネートベニアにより歯質削除なしに修復し,インプラント体にセラミックス冠を装着した.12年後,CT所見ではインプラント体唇側に2mm以上の骨組織が維持されていた.移動した歯には歯根吸収がみられたが,健全な歯周組織が維持されていた.客観的,主観的審美評価においても良好な状態が維持され,水平的な歯の移動は審美領域インプラント治療において,侵襲の少ない長期的予知性のある方法であることが示唆された.

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