抄録
今回われわれは,術後の口腔癌患者のうち,再建手術を要した舌癌患者の栄養状態について,血液生化学検査を中心に調査を行い,治療前後の栄養状態,また,当科における栄養管理について検討したので,その問題点を含めて報告する。
対象は2000年から2008年までの9年間に当科で入院加療した舌癌患者35名。これらの患者を術前治療の有無,何らかの皮弁再建の有無にそれぞれ分類し,体重,総タンパク,アルブミンから栄養状態を評価した。また,近年当科では胃瘻造設を積極的に取り入れており,その有用性についても評価した。
結果は体重,血液生化学検査ともに再建施行例においては入院時から比較すると著しく低栄養状態に陥る傾向がみられた。また,胃瘻造設による栄養管理は,特に術後の管理が容易であった。