日本口腔腫瘍学会誌
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最新号
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原著
  • 森川 貴迪, 岩本 昌士, 柴原 孝彦, 髙野 正行
    2020 年 32 巻 2 号 p. 29-37
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/22
    ジャーナル フリー
    わが国における口腔癌の罹患率は上昇傾向にある。口腔癌は60歳以降の男性に多いとされてきたが,近年では若年者の割合が増加しているとされている。
    1997年から2016年の間に,東京歯科大学口腔外科で加療を行った40歳未満の舌扁平上皮癌一次症例(若年者)36例を後ろ向きに検討した。同時期に加療した舌扁平上皮癌369 例のうち,若年者は9.8%であった。若年者の割合は,20年間で増加しており,男女比は1.25:1であった。病理組織学的分化度では,高分化型は75.0%であった。病期分類では,それぞれⅠ期47.1%, Ⅱ期19.4%,Ⅲ期22.2%,Ⅳ期16.7%であった。発症誘発因子においては,飲酒は若年者の38.9%に認められ,喫煙は41.7%に認められた。機械的刺激は91.7%に認められた。
    5年全生存率は88.2%,5年無再発生存率は82.6%であり,他年齢群と比較し統計学的有意差は認めないものの,良好な傾向にあった。
症例報告
  • 西久保 周一, 渡邊 伸也, 高田 満, 松田 博之, 篠塚 啓二, 田村 英俊, 柴原 孝彦, 外木 守雄
    2020 年 32 巻 2 号 p. 39-44
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/22
    ジャーナル フリー
    進行した悪性口唇腫瘍の切除後の再建は,整容面,嚥下,構音機能の十分な配慮が必要となる。症例は79歳,女性で上下唇腫瘍を認め,中分化扁平上皮癌と診断された。全身麻酔下に上下唇腫瘍に対し,腫瘍切除術を施行した。再建には眼角動脈と顔面動脈を栄養血管とし,左側顔面の広範囲な頰部皮膚を有茎性に立ち上げたextended nasolabial flapを使用した。本法の特徴は広範囲の口唇欠損の再建が短時間で可能であることである。
  • 丸瀬 靖之, 佐藤 春樹, 長縄 憲亮, 早川 泰平, 小野 翔矢, 大原 令子, 佐久間 英規, 大岩 伊知郎
    2020 年 32 巻 2 号 p. 45-55
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/22
    ジャーナル フリー
    【緒言】原発性中枢神経リンパ腫(primary central nervous system lymphoma:PCNSL)は中枢神経に限局発生し,全悪性リンパ腫の1%未満である。また,他臓器由来の悪性リンパ腫が,初回検出時に中枢神経に浸潤していることもまれである。今回,左側下顎および左側頭葉にB細胞性リンパ腫が併存したまれな症例を経験したので報告する。
    【症例】64歳,女性。左側下顎歯肉腫脹と下唇知覚鈍麻を自覚し,近在歯科医院より当科を紹介受診した。初診2か月前,脳ドックで左側頭葉腫瘤を指摘され,精査予定だった。初診時,左側下顎犬歯から大臼歯頰側歯肉に,弾性硬で正常粘膜色の腫瘤を認め,CTおよびMRIで左側下顎骨に溶骨性変化を伴う50mm大の病変を認めた。生検の結果,diffuse large B-cell lymphomaと診断された。脳腫瘤に対しても生検が行われ,下顎病変と同様に,B細胞性リンパ腫と診断された。当院血液内科でR-MPV療法施行され,寛解した。寛解導入後,化学療法中に生じた下顎骨病的骨折に対して,観血的整復固定術を施行した。しかし,2か月後,左側頭葉病変が再発,救済化学療法を施行されたが,再発5か月後,死亡した。
    【結語】PCNSLは,まれな悪性リンパ腫であり,初診時に下顎病変を認めた症例は,渉猟し得た限り,認められない。治療中に生じた下顎骨の病的骨折に対して観血的整復固定術を施行したところ,経過中に明らかな固定の破綻は認められず,患者のQOLを維持できた。
  • 篠﨑 勝美, 安陪 由思, 喜久田 翔伍, 中村 守厳, 楠川 仁悟
    2020 年 32 巻 2 号 p. 57-61
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/22
    ジャーナル フリー
    上大静脈症候群(以下SVCS)は,上大静脈(以下SVC)の閉塞によって引き起こされる症候群であり,重篤なオンコロジーエマージェンシーである。SVCSの原因として,縦隔部の悪性腫瘍が多いとされているが,特に一般的なのは肺癌であり,口腔癌からの発症はまれである。われわれは,下顎歯肉癌の鎖骨上窩リンパ節転移によってSVCSを発症した症例について報告する。
    77歳,女性。下顎歯肉癌T2N0M0にて下顎辺縁切除術と肩甲舌骨筋上郭清術を行った。原発巣手術から4年後に同側のレベルⅣ領域に転移リンパ節を認めた。腫瘍部分には総線量50Gyの緩和照射を行った。放射線照射から約半年後,突然顔面,上肢の浮腫と嗄声,咳,頭痛の出現を認めた。CTにて鎖骨下静脈と内頸静脈が腕頭静脈に合流する部位に存在する腫大した転移リンパ節を認め,同リンパ節によってSVCが圧迫されていた。ステロイドとグルセオールにて重篤な症状の一時的な改善を認めたが,SVCSの発症から47日後に自宅にて亡くなった。
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