日本口腔腫瘍学会誌
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最新号
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総説
  • 髙山 香名子, 加藤 亮平, 瀬戸 一郎, 髙井 良尋
    2026 年38 巻3 号 p. 57-68
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/24
    ジャーナル フリー
    ホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy:BNCT)は,ホウ素化合物の腫瘍選択的集積性と中性子照射を組み合わせることで,がん細胞内に限局した高線量照射を可能とする治療法である。日本では加速器型BNCT装置の臨床導入およびホウ素製剤ボロファラン(10B)(ステボロニン®)の薬事承認を契機として,照射後再発頭頸部癌に対する新たな救済治療としてBNCTの臨床応用が進んでいる。口腔癌は局所制御が予後に直結する一方,照射後再発症例に対する治療選択肢は限られている。本総説では,再発口腔癌に対するBNCTの現状について概説するとともに,当院での照射後再発口腔扁平上皮癌に対して施行したBNCTの臨床成績を紹介する。2020年6月以降にBNCTを施行し3年以上経過した30例を解析対象とした。客観的奏効率は76.7%で,2年全生存率,局所制御率,無増悪生存率はそれぞれ53.3%,31.6%,20.0%であった。完全奏効が得られた症例では非完全奏効例と比較して有意に良好な生存成績を示した(p<0.01)。一方で,重篤な有害事象として口腔粘膜炎,顎骨壊死,頸動脈破裂が認められた。以上より,BNCTは照射後再発口腔癌に対する有望な治療選択肢となり得るが,厳密な適応選択および支持療法の充実が不可欠であり,他治療法との適切な使い分けが今後の課題と考えられる。
  • 舘原 誠晃
    2026 年38 巻3 号 p. 69-77
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/24
    ジャーナル フリー
    口腔白板症は,口腔潜在的悪性疾患の中で代表的な疾患であり,そのマネジメントの目的は,臨床・病理組織学的特徴を的確に評価して再発や悪性転化に関わるリスク因子を理解し,経過観察を含めた適切な対応によって悪性転化リスクを最小限に抑えることである。しかし,外科的介入の適応や経過観察の選択については,いまだ明確なコンセンサスが得られていない。本稿では,最新の文献的知見に基づき,本疾患の再発および悪性転化に関与する臨床学的・病理組織学的因子について整理した。
    臨床型や発生部位,上皮性異形成の程度は予後を左右する重要な指標であり,特に外科的切除後の再発は,その後の悪性転化リスクを著しく高める要因となる。したがって,外科的介入に際しては適切な切除安全域を確保し,再発を最小限に留める戦略が不可欠である。一方で,病態や患者背景によっては,非侵襲的介入である厳重な経過観察が適切な選択肢となり得ることも示唆されており,各症例のリスクプロファイルに応じた個別化医療の重要性がより一層明確となっている。今後は,本邦においても実態に即したエビデンスの蓄積が求められる。また,AI技術やバイオマーカーを用いた客観的な予後予測システムの導入により,より精度が高く,かつ低侵襲なマネジメント体制が確立されることが期待される。
原著
  • 菅野 千敬, 山﨑 森里生, 渡部 雄貴, 栁沼 貞之進, 小島 百代, 増淵 達夫, 金子 哲治
    2026 年38 巻3 号 p. 79-85
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/09/24
    ジャーナル フリー
    下顎再建手術におけるComputer assisted surgery (CAS)の開発が進み,従来法である術者によるプレートベンディングに比べ,精度や術後機能面での高い有用性が報告されている。日本国内では,フルカスタム下顎再建プレート「コスモフィックス®」が2023年に発売され使用可能だが,精度や術後合併症は不明である。本研究ではコスモフィックス®を使用し下顎再建手術を行った15例を対象とし,術後機能や合併症について検討した。再建精度は術前後の下顎頭の偏位量で評価し,偏位量の中央値は1mmであった。術後最大開口量の中央値は41mmで,咬合偏位を1例,創部感染を3例に認めたがプレートに起因したものは認めなかった。コスモフィックス®は簡便に複雑なプレートデザイン設計を可能にし,精度の高い下顎再建を可能にするデバイスの一つであると考えられた。
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