日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
石灰化を認めた顎下腺腺房細胞癌の1例
新井 俊弘太田 嘉英青山 謙一鈴木 崇嗣伊澤 和三小倉 豪青木 隆幸金子 明寛
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2013 年 25 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

腺房細胞癌は,唾液腺悪性上皮性腫瘍の低悪性度腫瘍に分類されるまれな腫瘍である。好発年齢は30~40歳代で,性差はなく,好発部位は耳下腺で顎下腺に発生することはまれである。今回われわれは,超音波検査で複数の強エコー像を認めた顎下腺腺房細胞癌の1例を経験したので報告する。
患者は31歳,女性。左顎下部の疼痛を主訴に当院を受診した。造影MR画像にてT1強調,T2強調のいずれでも左顎下腺内に長径9mm大の腫瘤を認めた。超音波画像では長径8mm大の低エコーを呈し,内部に1mm前後の強エコー像を複数認めた。悪性腫瘍の可能性が否定できなかったため,左顎下腺腫瘍の診断にて2010年7月に全身麻酔下にて顎下腺腫瘍切除術を施行した。病理組織学診断は腺房細胞癌であり,腫瘍の間質は硝子化を呈しており,一部に石灰化を認めた。術後の治癒経過は良好で,術後1週間で退院となった。現在,手術より1年7か月が経過するが,再発および転移を認めていない。

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© 2013 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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