抄録
今回われわれは口腔癌の外科的切除不可能な上縦隔リンパ節転移の気管浸潤に対し,放射線療法とセツキシマブを併用し延命した1例を経験したので報告する。
患者は数回にわたり口腔内および頸部リンパ節に再発転移を繰り返した79歳,女性。嗄声および喀血を主訴に当科を受診した。CT検査で,右側上縦隔リンパ節転移および気管浸潤を認めた。化学療法(シスプラチン+5-FU+セツキシマブ)も考慮したが,高齢であり重篤な副作用が懸念されたため放射線療法とセツキシマブを併用した。治療施行後約9か月間は再発・転移等認めなかったが10か月後に右肺に転移を認め,治療施行後約14か月で呼吸不全のため永眠された。