抄録
2010年1月から2014年12月までの5年間に群馬大学口腔外科にて手術が施行された口腔癌1次症例366例中,当科の口腔癌治療プロトコールに沿って治療が完全遂行されたにもかかわらず原発巣再発をきたした症例は3例 (0.8%) であった。頸部再発は認められなかった。3例中,外科療法を施行した1例のみ救済可能であった。
これらの再発3症例を総括すると,細胞生物学的に癌細胞が細胞単位でびまん性に浸潤するINFcやbudding 3個以上,臨床的進展度では,舌では半側切除以上が必要な程度の進展,下顎歯肉では下顎区域切除が必要な程度の進展,さらには,頸部リンパ節転移など,これらの高悪性型病態が複合された症例であった。かかる症例では,初回治療時に標本上,たとえ完全切除が成されていたとしても,術後再発高リスク症例として,原発巣および頸部共に術後治療の検討が必要かもしれない。また,たとえ再発したとしても症例3の様に外科療法が可能であれば救済は可能かもしれない。
いずれにしても,術前に腫瘍の細胞生物学的な病態や臨床的病態を踏まえて適切な治療計画を設定し,腫瘍再発防止策を講じることが重要である。