日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
患者評価ツールを用いて評価した超高齢者口腔癌の2例
金山 宏幸北村 有理子矢谷 実英白尾 浩太郎鹿野 学吉本 仁
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キーワード: 超高齢者, 口腔癌, 手術
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2025 年 37 巻 3 号 p. 95-103

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抄録
今回われわれは手術を施行した超高齢の下顎歯肉癌患者2症例に対して後方視的に患者評価ツールを用いて評価したのでその概要を報告する。症例1は93歳男性で下顎歯肉癌(cT4aN0M0)の診断で気管切開術,頸部郭清術,下顎区域切除術を行った。術後に胸水貯留と肺炎をきたしたが術後31日で自宅退院となり,現在術後5年で術前と同様のADLで再発なく経過している。症例2は93歳男性で下顎歯肉癌(cT4aN1M0)の診断で気管切開術,頸部郭清術,下顎区域切除術,大胸筋皮弁による再建術を行った。術後に胸水貯留と肺炎をきたし改善するも,術後6週で重度の下血,術後9週で重症不整脈を生じ術後12週で転院となり,転院後4週で肺炎の再燃で逝去した。患者評価ツールは平均余命,ASA,PS,CCI,PNI,MNA,G8,VES-13,fTRST,JCOG高齢者分類,CFS,Frailty-Index,基本チェックリスト,FOIS,FILSおよびE-PASSを用いた。これらの結果から,超高齢者の口腔癌においても全身状態によっては手術適応を検討する余地があり,手術侵襲の低減を考慮することが重要である可能性が考えられた。有用な患者評価ツールと予後予測因子は未だ明らかでないため,今後症例を集積し検討する必要があると考えられた。
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© 2025 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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