日本口腔腫瘍学会誌
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口腔腫瘍を中心とするレーザー外科の自家治験症例
小野 敬一郎清水 正嗣柳沢 繁孝水城 春美河村 哲夫松島 りん太郎岡本 暁子大津 孝彦
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1989 年 1 巻 2 号 p. 235-244

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抄録
医用高出力レーザーは, 各科領域の疾患, 特に腫瘍を中心として使用されてきた。使用方法は切除からレーザーサーミアと様々であるが, 外科治療や集学的治療への適応が一層広がる過程にある。
口腔外科領域においても, 基礎的研究と共に各種疾患, 治療に用いられている。
我々のレーザー使用は1984年4月のコヒレント社製CO2レーザーに始まり, 翌年日本赤外線工業社製YAG-CO2レーザー, 1987年にはSLTジャパン社製Nd: YAGレーザーの使用を開始した。1984年4月から1988年12月までの4年8カ月間に当科において実施したレーザー外科は38例で, 男性22例, 女性16例であった。うち, 悪性腫瘍症例への使用は25例で, 今回の主な研究対象とした。
組織型別では扁平上皮癌が20例 (80%) を占めていた。レーザー外科の使用方法は腫瘍切除18件, 蒸散12件, 切除+蒸散5件, 頸部郭清2件であった。麻酔方法では局所麻酔21件, 全身麻酔16件であった。レーザー外科処置後非縫合とした症例が大半を占めるが, Nd: YAGレーザーにて切除後縫合を施した6症例においては創治癒は良好であった。
すべての症例が他療法との併用でレーザー外科を施行しており, 悪1生腫瘍の集学的治療の一環としてレーザー外科を位置づけている。
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