日本口腔腫瘍学会誌
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頭頸部扁平上皮癌における抗 PCNA 抗体による免疫組織学的検討
今井 裕佐々木 忠昭永島 知明篠原 真
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1995 年 7 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

頭頸部扁平上皮癌一次症例33例に対し, 抗PCNAモノクローナル抗体を用い免疫組織学的に検討し, PCNA発現と臨床進行度, 組織学的悪性度ならびに予後との関係について検討し, 以下の結果が得られた。
1.臨床進行度では, T分類, N分類ともにPCNA発現と相関し, 進展例ならびリンパ節転移症例に高率であった。
2.組織学的悪性度もPCNA発現と相関がみられ, 高悪性群にその発現が高率で, 特に核異型度, 浸潤様式, 浸潤程度との関連を認めた。
3.予後との関わりでは, 予後不良例にPCNAの発現が有意に高率であった。
以上より, 頭頸部扁平上皮癌におけるPCNAの発現は, 臨床ならび病理所見と相応し, 悪性度の指標や予後の推測に有用な手段となることが示唆された。

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