抄録
当科で治療した上顎歯肉・硬口蓋粘膜扁平上皮癌において, 主にその病態と予後について病理組織学的に検討し以下の結果を得た。
1.上顎歯肉癌の口蓋型や硬口蓋癌および後方型のものに原発巣再発や制御不良例が多い傾向を示し, 頸部リンパ節転移頻度も高く, 転移様式も多様となる傾向であった。
2.病理組織学的悪性度の高いものほど原発巣再発頻度が高く, 予後も不良となる傾向を示した。
3.5年累積生存率は全症例で71.1%, 上顎歯肉癌は79.6%, 硬口蓋癌は55.6%であった。
4.予後不良因子は, 側方的分類では, 上顎歯肉癌の口蓋型, 硬口蓋癌, 前後的分類では後方型, および病期の進展したものや組織学的高悪性度症例などであった。