歯科薬物療法
Online ISSN : 1884-4928
Print ISSN : 0288-1012
ISSN-L : 0288-1012
原著
培養ヒト歯肉線維芽細胞のTNF-α誘導アポトーシスに対するアムロジピンの抑制的作用
竹内 麗理松本 裕子秋元 芳明藤井 彰
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 31 巻 2 号 p. 45-52

詳細
抄録
薬物性歯肉増殖症はフェニトイン,シクロスポリンA,アムロジピンなどによる副作用として知られている.近年,アムロジピンによる歯肉増殖症が度々報告されている.いくつかの報告で,この疾患の原因は歯肉線維芽細胞におけるアポトーシスの低下と細胞周期制御を受ける増殖の亢進,そして歯肉の炎症が関与していると述べられている.また,フェニトインおよびシクロスポリンAによる歯肉増殖症は腫瘍壊死因子(TNF)-αによって引き起こされると報告されている.一方,アムロジピン歯肉増殖症とTNF-αの関連性についての研究報告は殆どない.そこで,我々は本研究で,TNF-α存在下で,ヒト歯肉線維芽細胞の細胞周期,アポトーシス,生細胞率および総細胞数に対するアムロジピンの影響を検討した.培養ヒト歯肉線維芽細胞は,増殖停止後,TNF-α(100ng/mL)±アムロジピン(1 or 10μM)処理またはアムロジピン(1 or 10μM)単独処理され,その後,細胞周期分布,アポトーシス細胞数,生細胞率および総細胞数が測定された.結果より,アムロジピンはTNF-α誘導アポトーシスを有意に抑制し,その結果生細胞率が上昇し総細胞数が増加することが示された.アムロジピン歯肉増殖症の原因はこれら実験結果と関連があると考えられる.
著者関連情報
© 2012 日本歯科薬物療法学会
次の記事
feedback
Top