歯科薬物療法
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シスプラチンを用いたMTT assayにおける線維芽細胞およびリンパ球の影響
野村 城二田川 俊郎森 厚関 豊中川 俊幸乾 真登可
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1996 年 15 巻 3 号 p. 124-129

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抄録

代表的なin vitro制癌剤感受性試験である3- (4, 5-dimethylthiazol-2-yl) -2, 5-diphenyl tetrazolium bromide (MTT) assay (Original) およびその変法であるLiquid top agarose layer MTT assay (Liquid) , MTT Hybrid assay (Hybrid) における線維芽細胞とリンパ球の影響についてシスプラチンを用いて検討した.リンパ球はいずれのMTT assayでもほとんど影響はみられなかった.腫瘍細胞 (HOSM-1) と線維芽細胞 (HF) の混合細胞に対しては50%以上の線維芽細胞混入で有意に制癌剤感受性を低下させ, またin vivo腫瘍に抗ヌードマウス血清を作用させマウス由来細胞を除去したものでは有意に制癌剤感受性の上昇がみられた.これらのことは新鮮材料を対象とする感受性試験では線維芽細胞等の細胞活性を抑制することが必要であることを示唆している.線維芽細胞の増殖はOriginalで2.9倍の増殖がみられたのに対しLiquidではOriginalの66%, さらにHybridのtop layer 0.25%では55%に増殖を抑制した.このことにより新鮮材料に対してはtop layerが0.25%agarのMTT hybrid assayが適すると考えられた.

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