歯科薬物療法
Online ISSN : 1884-4928
Print ISSN : 0288-1012
ISSN-L : 0288-1012
抜歯後菌血症から分離された口腔レンサ球菌のMIC
青木 隆幸坂本 春生毒島 保信太田 嘉英佐々木 次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 15 巻 3 号 p. 159-163

詳細
抄録

感染性心内膜炎 (IE) は, 弁膜症の様な患者の抜歯後菌血症により引き起こされるといわれている.感染性心内膜炎を予防するためAmerican Heart Association (AHA) により, 抗菌薬の予防投与が勧告されている.今回我々は, 抜歯後菌血症により分離されたレンサ球菌32株に対する, AHAの勧告に従った抗菌薬, アンピシリン (ABPC) , アモキシシリン (AMPC) , クリンダマイシン (CLDM) , バンコマイシン (VCM) , エリスロマイシン (EM) , セファクロール (CCL) について, その感受性の検討を行った.ABPC, AMPC, VCM, に対して高度の耐性を示す株は認められなかった.2株を除いてCLDMは, レンサ球菌に対して感受性があった.今回の検討の結果, AHAの励告と同様ABPCとAMPCはそのMICの結果から感染性心内膜炎を予防するうえで, 最も有用と考えられた.しかしながら, AHAの勧告する抗菌薬の投与量は日本人には多すぎるため, 我々は代わりにバカンピシリン (BAPC) の様なABPCのプロドラッグを推奨する.BAPCはABPCやAMPCと同じ投与量で高い血中濃度が得られ, 口腔レンサ球菌に対する感受性は同等であるからである.

著者関連情報
© 日本歯科薬物療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top