歯科薬物療法
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口腔内細菌に対するシクロプロペン誘導体の抗菌作用
佐藤 博泰堀江 均田谷 かほる浜田 節男
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2008 年 27 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
この研究の目的は, シクロプロペン誘導体の合成及びその口腔内細菌に対する抗菌作用の評価である.環上に種々の官能基を置換基として有するシクロプロペン誘導体9化合物をロジウム触媒による環化異性化反応を用いて良好な収率で合成した.これらの化合物の中で, 典型的な特徴を有する6化合物が, 黄色ブドウ球菌, セレウス菌, 大腸菌などのグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して抗菌作用を示した.次に, これらの化合物について口腔内細菌に対する抗菌作用の検討を行った.その結果, 合成した9化合物全てにおいてヒト全唾液を用いた好気及び嫌気培養条件下での口腔内細菌叢に対する発育阻止作用を示すことが明らかとなった.さらに, これらの化合物の中で典型的な特徴を有する4化合物が, 歯周病原性細菌である、Porphyromonas gingivalisおよび齲蝕原性細菌であるStreptococcus sobrinusに対し, 強力な抗菌作用を示すことが明らかとなった.
以上の結果より, シクロプロペン誘導体は, 齲蝕及び歯周病に対する有用性が示唆された.
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© 日本歯科薬物療法学会
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