抄録
われわれはすでにtenidap, (±) -5-chloro-2, 3-dihydro-3- (hydroxy-2-thienylmethylene) -2-oxo-1H-indole1-carboxamide, が培養ヒト歯肉線維芽細胞において総コラーゲン量を低下させることを報告している.Tenidapが歯肉肥厚に対して使用する薬物の1つと考えられるので, tenidapがコラーゲン分解を促進するか否か検討することは興味深い.そこで, われわれはニフェジピン感受性ヒト歯肉線維芽細胞 (NIFr) において, tenidapのMMP-1生成, ERK1/2のリン酸化, およびtenidapによって活性化されたMMP-1mRNA発現に対するMAPK阻害薬の影響を検討した.TenidapはNIFr細胞においてMMP-1生成, MMP-1mRNA発現を亢進し, リン酸化ERK1/2合成を促進した.したがって, 総コラーゲン量を低下は, MMP-1生成の亢進によるものと考えられた.このことから, tenidapの歯肉肥厚を制御する薬物としての可能性が示唆された.