日本小児アレルギー学会誌
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小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012
第8章 乳児喘息
吉原 重美
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2012 年 26 巻 5 号 p. 762-768

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抄録

本ガイドラインにおいて,2歳未満の小児喘息を乳児喘息と規定する.その理由として,この年齢では呼吸器系における解剖学的,生理学的特徴から気道狭窄を起こしやすいからである.また,小児喘息の60%が2歳までに発症している.そこで,小児喘息のよりよい予後を確立するために,発症早期からの適切な診断に基づく早期介入を含めた治療,長期管理が重要である.そのためには,乳児喘息をallergen-induced asthmaやvirus-induced asthmaのようなフェノタイプに区別した治療戦略を考慮する必要がある.長期管理により3か月以上コントロール状態「良好」を維持できれば治療のステップダウンを行う.しかしながら,乳児喘息は喘息発症後の期間が短いことと,早期診断が必ずしも容易ではなくover diagnosisの可能性もあることから,広義に喘息と診断された児ではステップダウンを早めに考慮する.さらに,長期管理をするためのツールとしてJPAC(Japanese Pediatric Asthma Control Program)や夜間睡眠日誌などの質問紙が有用である.

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© 2012 日本小児アレルギー学会
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