日本小児アレルギー学会誌
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原著
  • 伊藤 靖典, 亀田 誠, 池田 政憲, 藤澤 隆夫, 井上 壽茂, 徳山 研一, 平井 康太, 松原 知代, 吉田 之範, 足立 雄一, 日 ...
    2019 年 33 巻 5 号 p. 683-691
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル 認証あり

     【目的】 「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」 (JPGL) の認知度, JPGL2017の改訂ポイントの評価を行う.

     【方法】2017年4月に開催された第121回日本小児科学会学術集会に参加した小児科医にアンケート調査を行った.

     【結果】366名から回答を得た. JPGLを読んだことがある・図表は見たことがあると回答した者は93%であり, JPGL2017についても89%の認知度があった. JPGL2017の改訂ポイントであるクリニカルクエスチョンについて, 93%が日常臨床に合致していると回答した. JPGL2017の変更点について 「妥当である」 と回答したのは, 長時間作用性β2刺激薬を短期追加治療に変更したことは88%, 急性増悪時のβ2吸入薬の投与量を乳幼児で一律0.3mLとしたことは85%, 乳幼児喘息の診断については89%, 乳幼児喘息の診断的治療については86%であった.

     【結語】JPGLは広く認知されており, JPGL2017の変更点について一定の理解が得られていると考えられた.

  • 佐藤 さくら, 福家 辰樹, 伊藤 浩明, 今井 孝成, 近藤 康人, 北林 耐, 長尾 みづほ, 増本 夏子, 海老澤 元宏
    2019 年 33 巻 5 号 p. 692-701
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル 認証あり

     【目的】クルミアレルギー診断におけるJug r 1特異的IgE抗体検査の有用性を検討する.

     【方法】8施設にてクルミ粗抗原特異的IgE抗体陽性でクルミアレルギーが疑われた症例を対象に, イムノキャップ法にてJug r 1およびJug r 3の特異的IgE抗体を測定し, ROC解析を用いて診断有用性を検討した.

     【結果】対象は144例 (クルミアレルギー98例, 非クルミアレルギー46例) で年齢中央値は6歳であった. クルミアレルギーではクルミ粗抗原およびJug r 1特異的IgE抗体価が有意に高く, area under the curveはJug r 1が0.858, クルミ粗抗原が0.787, Jug r 3が0.284であった. Jug r 1特異的IgE抗体価では0.98 UA/mLの時に95%陽性的中率が得られ, 感度78.6%, 特異度91.3%であった.

     【結語】クルミアレルギー疑い症例においてJug r 1特異的IgE抗体検査は診断に有用である.

  • 堀野 智史, 二瓶 真人, 宇根岡 慧, 四竈 美帆, 佐藤 大記, 秋 はるか, 三浦 克志
    2019 年 33 巻 5 号 p. 702-708
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル 認証あり

     【目的】軽症の鶏卵アレルギーにおいて除去解除に向けた方法を検討する.

     【方法】2014年1月から2016年12月に加熱卵白10gの食物経口負荷試験 (OFC) で陰性となった軽症の鶏卵アレルギー児を対象とし, OFC後の鶏卵摂取状況, 誘発症状について後方視的に調査した. 食事指導による漸増は週に3回程度加熱卵白を摂取し症状がなければ2週間で10~20%増量するものとした.

     【結果】133人を解析し, 食事指導による漸増あり/なし, と1年以内の加熱全卵1個OFCあり/なしで4群に分類し, A群 (漸増+, OFC+), B群 (漸増+, OFC−), C群 (漸増−, OFC+), D群 (漸増−, OFC−) とした. 1年後に加熱全卵1個摂取できた割合はA群84%, B群48%, C群81%, D群0%であった. 自宅での誘発症状は各群間で有意差を認めなかった.

     【結論】加熱卵白10g摂取可能な軽症鶏卵アレルギー患者に対して, 食事指導による漸増はOFCに次いで有効であり, 危険性も増加しないことが示唆される.

  • 笹本 明義, 笹本 武明, 笹本 光紀, 椿 俊和
    2019 年 33 巻 5 号 p. 709-717
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル 認証あり

     【背景】わが国における思春期アレルギー性鼻炎に対するHDM (house dust mite : ダニ) SLIT (アシテア®) の検討は少ない.

     【方法】12~18歳75名を対象とし, 質問表による後方視点観察研究を実施した. この中で “とても良くなった” “良くなった” 群を改善群, それ以外の群を非改善群とし両群を比較した.

     【結果】75名中57名より回答を得たが, 改善群は66.7%であった. 開始後4週間の副反応の有無はその後の効果に影響を与えなかった. 改善群と非改善群の比較では, 改善群で有意に治療継続期間が長く, また服薬アドヒアランスが良好であった. “悪化し中止した” 症例は6例で, 全例1か月以内に中止していた.

     【考察】ダニSLIT開始後副反応が出現しても, その副反応を経て服薬を継続することができれば, 効果を期待できる可能性が示唆された. 非改善群は治療継続期間が短い例が多く, 継続して治療を続けることで改善率が上昇するのか今後の検討を要する.

  • 明石 真幸
    2019 年 33 巻 5 号 p. 718-725
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル 認証あり

     【背景・目的】牛乳特異的IgE抗体 (sIgE) が陽性化する新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症患者の牛乳アレルゲンコンポーネントの特徴を明らかにする.

     【方法】2010~2017年までに上記と診断された患者を対象として, 臨床経過と牛乳・カゼインsIgEおよびその比を後方視的に検討した. sIgEについて, IgE依存性牛乳アレルギー患者と比較した. さらに牛乳とアレルゲンコンポーネントsIgEの相関を調べた.

     【結果】対象患者は5名だった. 経過中最高値を示した時の牛乳sIgE中央値は70.5UA/mLで, その時のカゼインsIgE中央値は1.5UA/mLだった. IgE依存性牛乳アレルギー患者と比較すると, カゼインsIgEおよびカゼイン/牛乳sIgE比が有意に低かった. 牛乳とアレルゲンコンポーネントsIgEの関係は, αラクトアルブミンで最も相関していた.

     【結論】牛乳sIgEが陽性化する新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症患者のアレルゲンコンポーネントsIgEはIgE依存性牛乳アレルギーとは異なる傾向を認めた.

  • 山田 慎吾, 鈴木 尚史, 星 みゆき, 今給黎 亮, 小堀 大河, 長尾 みづほ, 藤澤 隆夫
    2019 年 33 巻 5 号 p. 726-737
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル 認証あり

     【背景】食物アレルギーの管理の基本は必要最小限の除去であり, 安全摂取量は食物経口負荷試験 (OFC) で決定することが望ましい. 乳児期でも同様と考えられるが, 乳児に限定したOFCの報告はない.

     【目的】乳児期OFCの安全性と有用性について検証する.

     【方法】2016~2018年に当院で乳児期に実施した鶏卵・牛乳・小麦OFCの診療録を後方視的に解析した.

     【結果】129人に173回のOFC (鶏卵100例, 牛乳38例, 小麦35例) を実施した. 負荷量は患者背景を事前検討してテーラーメイドに決定した. 陽性率は鶏卵18%, 牛乳32%, 小麦26%で, Anaphylaxis Scoring Aichi 15以上は8% (13/173), うち40以上60未満は2% (3/173) に認めたがアドレナリン筋注を要する重症例はなかった. OFC結果から食事指導を行い, OFC前に完全除去の70% (99/141) が3か月後に0.1g以上を摂取可能であった.

     【結語】乳児期OFCは症例ごとに負荷量を調整することで安全に実施可能である.

総説
  • 木村 光明
    2019 年 33 巻 5 号 p. 738-748
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル 認証あり

     小児の特異的IgE抗体の産生には, 最初に卵白, 次いでダニ, 最後にスギ花粉という順序がある. このような時間差の原因を解明するためには, IgE抗体の産生を調節するTリンパ球の機能を調べる必要がある. リンパ球刺激試験は, 末梢血中のアレルゲン特異的Tリンパ球をアレルゲンで刺激し, その反応の強さを調べる検査である. 増殖反応やサイトカイン産生が指標として利用される. リンパ球刺激試験を用いた分析では, 各アレルゲンのT細胞レベルの感作時期には差を認めなかった. しかし, アレルゲンごとにサイトカイン産生パターンに差があることが明らかになり, これが, IgE抗体産生の時間差と関係している可能性がある. リンパ球刺激試験は, 非IgE依存性食物アレルギーの病態研究および診断にも利用できる. 新生児・乳児消化管アレルギーでは, 牛乳が主要アレルゲンであるが, 牛乳特異的IgE抗体は上昇していない. これに対し, 牛乳蛋白特異的リンパ球増殖反応は明らかに上昇しており, 診断上有用な情報となる.

解説 : アレルゲン
  • 堀向 健太
    2019 年 33 巻 5 号 p. 749-757
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル 認証あり

     アレルゲンとしての花粉を飛散させる植物は木本類, 草本類に大別され, 草本類としてイネ科のオオアワガエリやカモガヤ, キク科のブタクサ・ヨモギなどが知られている. アトピー性皮膚炎や食物アレルギーのある児は草本類花粉に対する感作率が高く, スギやヒノキ花粉に比較し飛散距離は短い草本類花粉に対する感作は, 周囲の植生の影響を強く受けることがわかっている. イネ科植物は共通抗原性が強く, 主要アレルゲンはPhl p 1やPhl p 5と考えられている. 一方, キク科花粉は属により抗原性は大きく異なり, それぞれを区別して考える必要性がある. そしてブタクサ花粉はAmb a 1とAmb a 11, ヨモギ花粉はArt v 1が主要なアレルゲンである. これらの花粉は花粉−食物アレルギー症候群 (PFAS) の原因となり, イネ科花粉は, Phl p 12, ブタクサではAmb a 8, ヨモギではArt v 3やArt v 4が交差抗原となると考えられている.

  • 岡藤 郁夫
    2019 年 33 巻 5 号 p. 758-768
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/31
    ジャーナル 認証あり

     花粉アレルギーはアレルギー患者の半数に影響を及ぼすと推定されており, アレルギー性鼻炎だけでなく花粉−食物アレルギー症状群の原因ともなりうる. 一般に, 樹木花粉アレルギーはマツ目, ブナ目, シソ目, ヤマモガシ目に属する樹木によって引き起こされる. 患者の居住地域に植生する樹木は患者の感作プロファイルに影響を与える. わが国では, マツ目ヒノキ科のスギとヒノキ, ブナ目カバノキ科のハンノキとシラカンバの花粉が原因の花粉症の頻度が高い. 一方, アレルゲン感作の分子ベースのプロファイリングが整備され, アレルゲン交差反応性の免疫学的機序の解明が進歩した. その結果, 異なる樹種間の分類学的関係および分子学的関係を知ることで, 一見無関係な樹種間の交差反応性の予測が可能となった. 花粉症診療において, 原因アレルゲンを同定するためにこれらの知識は大いに役立つだろう.

知っておきたい最新のアレルギー・免疫学用語
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