日本小児アレルギー学会誌
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原著
  • 神谷(真野) 絢子, 五十嵐 瑞穂, 小林 真也, 鈴木 大地, 秋山 聡香, 小花 奈都子, 川口 隆弘, 林 健太, 大場 邦弘
    2021 年 35 巻 5 号 p. 415-418
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
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    【目的】アナフィラキシーに対するアドレナリン自己注射薬(AAI)の処方が可能となって以降,不適切な取り扱いによる誤使用の報告が散見される.誤使用の発生要因を検討する目的で,当院小児科で経験した事例を分析した.

    【方法】2012年2月~2021年1月に当院小児科でAAIを処方された患児の電子診療録を対象に,誤使用した人物及び年齢,性別,適応症,既往歴,有害事象,発生要因を後方視的に検討した.

    【結果】期間中にAAIは246例,延べ1,333本処方され,誤使用は9件発生した.うち8件が児による誤使用であり,年齢中央値は6.5歳,性別は全例男性であった.2件は注意欠如・多動症(ADHD)がある同一の児,1件はADHD傾向にある幼児であった.身体への誤注射は4件あり,いずれも無治療で軽快した.

    【考察】AAIの誤使用は,自己抑制がより未熟である学童期の男児やADHD児が自己管理する際に発生する傾向にあり,患児の発達特性を評価した上で,AAIの管理上の注意点をより重点的に指導する必要がある.

  • 立元 千帆, 今給黎 亮, 吉川 英樹, 今村 直人, 中村 亨, 島田 辰彦, 鹿島 直子
    2021 年 35 巻 5 号 p. 419-425
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル 認証あり

    【目的】学校生活管理指導表(アレルギー疾患用,以下管理指導表)の評価とそれに基づいた講習会がその後の管理指導表記載内容にどのような変化を与えたか検討する.

    【方法】医師会の小委員会で管理指導表の記載内容について評価を行ったのちに講習会を開催した,姶良市と鹿屋市の小中学校に提出された管理指導表を対象に,評価および講習会の前年度と翌年度の管理指導表の提出数・診断根拠内の食物経口負荷試験陽性が含まれる数・アナフィラキシー診断数の変化について検討を行った.

    【結果】いずれの都市でも管理指導表の提出数が減少し,診断根拠内に食物経口負荷試験陽性が含まれる数が増加した.また,アナフィラキシーありの管理指導表もいずれの都市でも減少し,食物経口負荷試験陽性がすべての診断根拠に含まれるようになった.

    【結語】管理指導表の評価およびその内容のフィードバックを行うことが,管理指導表の記載内容の適正化へつながり,学校現場の負担軽減につながる可能性がある.

  • 山崎 晃嗣, 竹村 豊, 有馬 智之, 益海 大樹, 長井 恵, 井上 徳浩, 杉本 圭相
    2021 年 35 巻 5 号 p. 426-435
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル 認証あり

    【背景】食物アレルギー診療ガイドライン2016では食物経口負荷試験(OFC)の総負荷量として少量,中等量,日常摂取量で例示されているが,患者の背景因子から選択する明確な規定はない.本研究では,鶏卵総負荷量の選択における特異的IgE(sIgE)の有用性について検討した.

    【方法】鶏卵を未摂取または完全除去中の児に実施したOFCを対象に,卵白sIgEにより20分加熱卵白の総負荷量を設定した.各負荷量におけるOFCの陽性率,卵白,オボムコイド(OVM)sIgEのArea under the curve(AUC)を比較した.

    【結果】少量,中等量,日常摂取量のOFCの陽性率は66.6%,27.9%,8.3%,卵白,OVM sIgEのAUCは0.61,0.65(P=0.71),0.58,0.69(P<0.05),0.92,0.91(P=0.89)であった.

    【結論】鶏卵アレルギーが疑われる児に対し,OFCを実施する際に卵白sIgEを用いて総負荷量を設定する方法は,鶏卵摂取を開始する指標として有用である.

  • 吉川 英樹, 井上 博貴
    2021 年 35 巻 5 号 p. 436-441
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル 認証あり

    galactose-α-1,3-galactose(α-Gal)syndromeは,マダニ咬傷を契機に発症する獣肉アレルギーである.今回マダニ咬傷2日後に牛肉による遅発型アナフィラキシーが疑われた1例を経験したので報告する.症例は15歳女子.牛肉,豚肉,鶏肉をバーベキューで摂取して無症状だったが,2日後,同じ牛肉,豚肉を焼肉で摂取した5時間後にアナフィラキシーを発症した.特異的IgE値(UA/mL)は牛肉0.62,豚肉1.48,鶏肉は陰性だった.患者はネコを14匹飼育しており,複数回のマダニ咬傷歴を有し,アナフィラキシー発症2日前にもマダニに刺咬されていた.アレルゲンコンポーネント特異的IgE値はα-Gal 3.61でFel d 2とSus s 1は共に陰性だった.加熱豚肉負荷試験が陰性であったため,牛肉が原因と考えられた.本症は,獣肉摂取によるアレルギー症状の誘発歴のない患者が,マダニ咬傷を契機に発症し,遅発性にアナフィラキシーをきたしうるため,早期診断と適切な食事指導が重要である.

調査
  • 性別・年齢・働き方を問わないキャリア支援を目指して
    加藤 泰輔, 岡﨑 史子, 平口 雪子, 二村 昌樹, 安冨 素子, 本村 知華子, 滝沢 琢己, 下条 直樹, 森川 みき
    2021 年 35 巻 5 号 p. 442-450
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル 認証あり

    【はじめに】日本小児アレルギー学会は,小児アレルギー学を学び続けたいと考える学会員に対し支援を行うことを目的にワーキンググループを設立した.今回,現状把握を目的に学会員を対象にアンケート調査を行った.【結果】回答数は668人(男/女353/315)で,アレルギー専門医資格を340人(54.8%)の医師が取得(男/女56.6/52.5%)していた.勤務形態は常勤医が男性93.5%,女性77.3%であった.仕事の中断を男性の11.0%,女性の75.6%が経験していた.男女ともキャリア形成のために専門分野の研鑽が最も重要と回答した.学会のさらなるダイバーシティ推進が必要と回答したのは男性の85.6%,女性の92.1%であった.自由記載では,子育て中のキャリア継続や復職支援を求める声がある一方,「キャリア支援=女性支援」と捉えることへの反対意見もあった.【結論】本学会が考えるキャリア支援は性別にとどまらない支援であることを学会員と共有し,学会員の多様な立場や価値観を踏まえた支援を行なっていく.

総説
  • 川島 佳代子
    2021 年 35 巻 5 号 p. 451-458
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
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    アレルギー性鼻炎の有病率は増加しており,小児においてもスギ花粉症の有病率が増加している.小児アレルギー性鼻炎の診断において問診は重要であるが,得られる情報が十分でない場合もあり詳細な聞き取りが重要である.小児においては検査の施行が難しいことがあるが,可能な検査を組み合わせて診断を行う.小児アレルギー性鼻炎には年齢に応じて,鑑別すべき疾患があり,それを念頭に置いて診断を行うことが重要である.また様々な疾患を合併することがあり,合併疾患による主訴で受診した場合は,アレルギー性鼻炎がないか注意が必要である.小児アレルギー性鼻炎の治療において成人同様,患者とのコミュニケーション,抗原除去と回避が重要であることはいうまでもないが,薬物療法で十分な効果を示さない場合は,有効性が高くアレルギーの自然経過を修飾することが見込めるアレルゲン免疫療法を考慮する.なかでも舌下免疫療法は安全性が高く,小児においては積極的に開始を考慮することが望ましい.症状,所見が高度である場合は手術治療も有効である.

ガイドライン解説:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020
  • 堀野 智史, 三浦 克志, 勝沼 俊雄
    2021 年 35 巻 5 号 p. 459-467
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
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    「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020」の第8章「急性増悪(発作)への対応」では,臨床上重要と考えられる課題についてClinical Question(CQ)を設定し,最適な治療方法として何を選択すべきかなど,症状改善が強く期待できる課題を重点的に取り上げた.

    急性増悪(発作)は,軽度なものから重篤なものまで様々であり,呼吸不全に至る可能性もあるため,早期からの適切な治療で速やかに症状を改善させる必要がある.急性増悪(発作)の対応には,「家庭での対応」と「医療機関での対応」がある.家庭では,発作を重篤化させず,遷延化させないように早期からの適切な対応が重要である.医療機関では,治療と同時に発作強度や合併症の把握,さらに他疾患の鑑別も行う.その誘因,発作強度,頻度に加え,患児や家族の疾病理解,対応の適切さを把握するように努める.これらは急性増悪(発作)時の適切な対応の指導のほか,適切な生活指導と長期管理薬の見直しにも関与し,喘息コントロールの向上を図ることに結びつく.

  • 福田 啓伸, 吉原 重美
    2021 年 35 巻 5 号 p. 468-476
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル 認証あり

    小児気管支喘息・治療管理ガイドライン(Japanese Pediatric Guideline for The Treatment and Management of Asthma:JPGL)2020の第9章では,「乳幼児期の特殊性とその対応」を記載している.JPGL2020では,JPGL2017で見直した乳幼児喘息の「診断」・「フェノタイプ」・「診断のフローチャート」・「乳幼児呼気性喘鳴の年齢による推移」「鑑別疾患」を踏襲しつつ,新たに「診断的治療」の詳細な手順をフローチャートで具体的に図示し,より診断しやすく改定された.本稿では,JPGL2020の第9章について解説する.

  • 吉田 之範, 亀田 誠
    2021 年 35 巻 5 号 p. 477-481
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル 認証あり

    思春期を迎えても喘息が寛解せずに小児科に通院している患者が一定数存在する.2014年に日本小児科学会から,小児科発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言で移行が示され,小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2017『思春期・青年期喘息』の章にも移行期医療について記載された.さらに今回は,『思春期・青年期喘息と移行期医療』と変更し,①JPGLから喘息予防・管理ガイドライン(JGL)に続く一貫性のある管理・治療ができる ②小児科的医療から内科的医療へのスムーズな移行ができることを目的とすることが明記され,JPGLからJGLへの考え方が図表で示された.移行期医療では『患者が自立するまでは小児科医が診ることが望ましい』とし,小児科医の役割を明記した.

  • 高橋 真市, 井上 壽茂
    2021 年 35 巻 5 号 p. 482-489
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル 認証あり

    小児の気管支喘息の管理はガイドラインの普及により著しく改善したものの,増悪因子や合併症に対し適切な介入が行われていないためにコントロール状態が達成できていない例も多い.第11章ではこれまでの「呼吸器関連合併症」から,呼吸器以外の合併症の存在にも注意を払い積極的な介入を促すために「合併症とその対策」と改題し,合併症を考慮した喘息診療を行うためのフローチャートを提示した.アレルギー性鼻炎,鼻副鼻腔炎,胃食道逆流症に加え,肥満,心的要因・発達障害についての記載を追加した.期待した治療効果が十分得られない場合には,喘息の診断や重症度に誤認はないか,環境整備やアドヒアランスに問題はないかなどを確認するとともに合併症の存在を疑い必要に応じて適切な介入を行うことが重要である.

食物アレルギー委員会報告
  • 村井 宏生, 苛原 誠, 杉本 真弓, 高岡 有理, 高橋 亨平, 和田 拓也, 山本 貴和子, 岡藤 郁夫, 二村 昌樹, 山田 佳之, ...
    2021 年 35 巻 5 号 p. 490-502
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル 認証あり

    【背景】IgE依存性鶏卵アレルギーは全世界において頻度が高い食物アレルギーの一つである.鶏卵アレルギーの患者は,ナッツ類などの他のアレルゲンに比べて耐性獲得がなされやすいことが知られている.食物経口負荷試験(以下OFC)は,IgE依存性食物アレルギーと診断された,あるいはその疑いのある患者に対してしばしば行われるものの,鶏卵OFCが,IgE依存性鶏卵アレルギーの患者にとって完全除去回避を行う目的で行う際に,それが有用であるかどうかに関しては明確なエビデンスがない.

    【方法】IgE依存性鶏卵アレルギーと診断された,またはその疑いのある日本人患者にOFCが行われた論文を抽出した.鶏卵の完全除去を回避するためにOFCが有用であるかどうかを,(1)完全除去を回避できた患者数,(2)重篤な有害事象ありの患者数(SAE),(3)有害事象ありの患者数(AE),(4)生活の質(QOL)の改善,(5)免疫学的変化の観点から評価を行った.

    【結果】59文献が対象となり,すべての文献が負荷前の状態と比較した症例集積,もしくは症例報告であった.全体の鶏卵OFC陰性率は62.7%で,陽性群には部分解除が可能であった報告も存在した.全体の鶏卵のOFCに対する陰性率は62.7%であったが,部分解除が可能であった報告まで広げると,OFC陽性者のうち71.9%が卵を摂取することができた.AEは4,182件中1,146件に出現しており,2件がSAEに移行した.QOLの改善と免疫学的変化の報告はそれぞれ2件ずつ存在した.

    【結論】鶏卵OFCは完全除去を回避する目的で実施することは有用であると考えられるが,安全性には十分に配慮すべきである.

  • 前田 麻由, 桑原 優, 田中 裕也, 錦戸 知喜, 平口 雪子, 山本 貴和子, 岡藤 郁夫, 二村 昌樹, 山田 佳之, 海老澤 元宏
    2021 年 35 巻 5 号 p. 503-514
    発行日: 2021/12/20
    公開日: 2021/12/20
    ジャーナル 認証あり

    背景:牛乳は鶏卵と共に世界中の小児食物アレルギーの主な原因食物である.牛乳の誤食は頻度が高く,時折重篤なアレルギー反応を誘発する.食物経口負荷試験は,通常食物アレルギー患者,もしくはその疑いがある者に対して行われる.しかし,IgE依存性牛乳アレルギー患者において,牛乳経口負荷試験が完全除去回避に有用かどうかについてのエビデンスはまだ分かっていない.

    方法:このクリニカルクエスチョンに関し,アウトカムを設定し,PubMed および医学中央雑誌のデータベースを用いて,2000年1月1日から2019年8月31日に発行された文献についてシステマティックレビューを実行し,対象文献のエビデンスレベルを評価した.有害事象は,牛乳経口負荷試験によって誘発されるアレルギー症状を含めた全ての事象と定義した.

    結果:対象文献は,40文献だった.結果,牛乳経口負荷試験によって,牛乳アレルギー患者の66%が牛乳の完全除去を回避することができる一方,有害事象が高い頻度(50.5%)で発生することも判明した.

    結論:本検討から,牛乳の完全除去回避目的に牛乳経口負荷試験を実施することが推奨される.ただし,牛乳経口負荷試験は,安全性にも十分配慮して実施する必要がある.本検討の対象文献では,牛乳経口負荷試験の方法や対象は一定ではなく,より高いエビデンスを構築するためにさらなる研究が必要である.

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