抄録
【目的】食物アレルギー経口負荷試験の結果を予測する因子を明らかにする.【方法】当院と2つのクリニックでアレルギー専門医が実施し,統一基準を満たした408回の鶏卵経口負荷試験結果と患者背景因子の関連を後方視的に解析した.【結果】経口負荷試験陽性率は病院が59.9%と,クリニック3.5%に比べ有意に高かった.患者背景因子では,病院はクリニックと比べ,月齢,卵白特異的IgE,総除去食物数,アナフィラキシー既往の割合が有意に高かった.卵白特異的IgEクラス2と3の症例に限っても,負荷試験陽性は病院がクリニックより有意に高率で,クラス2, 3症例では年齢因子調整後も陽性率に差を認めた.そこで,クラス2, 3症例についてロジスティック回帰解析を行うと,0~1歳児で総除去食物数,2~3歳児でアナフィラキシーの既往が陽性リスク増加因子であった.アトピー性皮膚炎は0~1歳でリスク低下,2~3歳で増加因子であった.【結論】多抗原の食物除去例,アナフィラキシー既往例,2~3歳で持続するアトピー性皮膚炎合併例では経口負荷試験での症状誘発の可能性が高い.