日本小児アレルギー学会誌
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総説 シンポジウム1:食物アレルギーはなぜ増えたか~その真相に迫る~より
疫学と経皮感作
長尾 みづほ
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ジャーナル 認証あり

2016 年 30 巻 1 号 p. 8-12

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抄録
食物アレルギーが増えていることは臨床現場での実感である. 確定診断は負荷試験であることから, 疫学調査において正確な有病率を得ることは必ずしも容易でないが, 増加を支持する多くの報告がある. 発症原因の一つとして, 最近は経皮感作が注目されている. 典型的なものは, 大きな社会問題ともなった加水分解小麦含有石鹸による小麦アレルギーがあるが, 小児の食物アレルギーでも皮膚からの影響が考えられている. ハイリスク児に対して生下時からの保湿によってアトピー性皮膚炎の発症が抑制されたという報告が出され, 食物アレルギーの発症も抑えることができるかにも注目されている. アレルギーマーチが皮膚から始まるとすれば, 一般集団に対しても生下時からのスキンケアをすることにより, 食物アレルギーの増加を抑止できる可能性が期待される.
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© 2016 日本小児アレルギー学会
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