日本小児アレルギー学会誌
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原著
乳児アトピー性皮膚炎における鶏卵特異的IgE抗体価変化の診断的有用性
立元 千帆長尾 みづほ藤澤 隆夫
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ジャーナル 認証あり

2017 年 31 巻 5 号 p. 692-698

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抄録

 【背景】食物特異的IgE抗体価を経時的変動という視点で解析した報告は少なく, 乳児期から1歳にかけての変動と経口負荷試験 (OFC) 結果との関連は知られていない.

 【方法】対象はアトピー性皮膚炎 (AD) があり, 鶏卵感作のため鶏卵除去が行われた乳児で, 生後6か月と12か月に卵白 (EW) とオボムコイド (OM) 特異的IgE抗体 (sIgE) が測定され, 12か月時に鶏卵OFC (加熱卵パウダー1/2個分) を受けた患者. 診療録から後方視的にsIgE変化とOFC結果の関連を解析した.

 【結果】29名が選択基準に一致した. EW-sIgEはOFC陰性群で有意に低下, 対数変換値で評価した低下程度は陰性群が陽性群より有意に大きかった. OM-sIgEは6か月で陽性群が有意に高値であったが, OM-sIgE変動とOFC結果には関連がみられなかった.

 【結語】鶏卵アレルギーが疑われるAD乳児で, 生後6~12か月にEW-sIgE低下が大きい児は加熱全卵半分を摂取できる可能性がある. sIgE変動評価は診断の参考にできる.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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