日本小児アレルギー学会誌
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ガイドライン解説:食物アレルギー診療ガイドライン2016
第10章 症状の重症度判定と対症療法
伊藤 靖典海老澤 元宏
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2017 年 31 巻 5 号 p. 740-746

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抄録

 食物アレルギーによる誘発症状は, 臓器ごとに重症度を判定し, 重症度に基づいた治療を行う. 「食物アレルギー診療ガイドライン2016」 では, アナフィラキシーガイドラインに準じた重症度評価を採用している. 各臓器 (皮膚・粘膜, 呼吸器, 消化器, 神経, 循環器) 症状をグレード1~3に分類し, グレード3およびグレード2の一部に該当する症状が認められた場合はアドレナリン筋肉注射の適応となる. アドレナリン筋肉注射はアナフィラキシーに対する第一選択薬であるが, ヒスタミンH1受容体拮抗薬や副腎皮質ステロイド薬のアナフィラキシーに対する効果については立証されていない. わが国ではα遮断作用を有する抗精神病薬とアドレナリンは添付文書上併用禁忌であるが, 同精神病薬を使用している患者がアナフィラキシーに陥ったときには医師の裁量のもと救命のためにアドレナリンを使用することは許容される.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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