日本小児アレルギー学会誌
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ガイドライン解説:食物アレルギー診療ガイドライン2016
第13章 患者の社会生活支援
西本 創伊藤 節子
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2018 年 32 巻 2 号 p. 288-296

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抄録

 食事は単なる栄養素の補給だけではなく, それ自体が楽しみともなる人生の重要な一部分である. 食物アレルギーの患者およびその家族は, 常にアナフィラキシーの恐怖にさらされ, 気軽に食べることを楽しむことができない. 医師はその支援をすることはもちろん, 安心して暮らすことができる社会の仕組みづくりにも貢献すべきである. その中でも特に学校・幼稚園や保育所等における対応を熟知し, 患者・家族に適切な助言を行うだけでなく, 医療従事者ではない教職員を指導することが期待される. すでにそれぞれのガイドラインが示されており, 学校においては毎年 「学校生活管理指導表」 を提出することが必須となっている. これは患者の学校生活の質, 安全性を左右する重要な書類であり, 同時に医療機関において適切な指導を受けるきっかけとなる. また, アドレナリン自己注射薬を含めたアナフィラキシー発症時の対応についても十分に指導する. これらを実現するためには地域のアレルギー診療体制構築が不可欠であり, 専門医にはその旗振り役となることが期待されている.

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