日本小児アレルギー学会誌
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ガイドライン解説:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017
第7章 長期管理に関する薬物療法
伊藤 靖典滝沢 琢己足立 雄一
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2018 年 32 巻 5 号 p. 824-831

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抄録

 喘息の長期管理の目標は, 基本病態である気道炎症を抑制し, 無症状状態の維持, 呼吸機能や気道過敏性の正常化, 生活の質の改善を図り, 最終的には寛解・治癒を目指すことである. 薬物療法だけではなく, 危険因子への対応, 患者教育やパートナーシップの向上が必要であり, 評価・調整・治療のサイクルを基本とする.

 JPGL 2017では, 臨床上重要と考える課題についてクリニカルクエスチョンを設定し, 最適な治療方法として何を選択すべきかなどについて最新のエビデンスに基づいて長期管理薬を設定した. 長期管理の基本治療は気道炎症に対する抗炎症治療薬であり, 吸入ステロイド薬やロイコトリエン受容体拮抗薬を用いる. 経口や貼付薬の長時間作用性β2刺激薬は, 長期管理薬からは外し, 一過性のコントロール状態の悪化が認められた場合に短期間使用して, 症状が改善したら速やかに中止する短期追加治療という新規概念に位置づけた.

 また, JPGL 2017では治療ステップ4の基本治療を行っても良好なコントロールが得られない場合を難治性喘息と定義した.

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© 2018 日本小児アレルギー学会
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