日本小児アレルギー学会誌
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教育講演
新型タバコのリスク
―喫煙とアレルギー,さらにその先へ―
田淵 貴大
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電子付録

2020 年 34 巻 1 号 p. 25-31

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抄録

加熱式タバコ・アイコスは日本で急速に普及し,2016年10月時点において,アイコスは世界の10か国以上で販売されていたが,世界シェアの95%以上が日本であり,日本が世界に先駆けて加熱式タバコの実験場となっているのである.加熱式タバコは,従来の紙巻きタバコのようにタバコ葉に直接火をつけるのではなく,タバコ葉に熱を加えてニコチン等を含んだエアロゾルを発生させる方式の新型タバコである.電子タバコでは,吸引器に溶液を入れ,コイルを巻いた加熱器で熱し,発生したエアロゾルを吸い込む.溶液には,ニコチンや果物などの匂いの人工香料,グリセリン,プロピレングリコールなどが含まれる.

新型タバコ(加熱式タバコ及び電子タバコ)から発生するエアロゾルは,単なる水蒸気ではない.これまでに分かっている情報を総合して,加熱式タバコを吸っている人のリスクは,紙巻タバコよりも低いとは言えない,と考えられる.予防すべき対象は,新型タバコも含めた,すべての「タバコの煙」だと考える.

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© 2020 日本小児アレルギー学会
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