2020 年 34 巻 2 号 p. 173-178
乳幼児期の喘鳴の病態は多様で,エンドタイプという真の病態はまだ不明である.そこで,乳幼児喘鳴をフェノタイプとして分類して,適切な治療選択や予後の予測などが試みられているが,私たちは治療選択に関わる臨床研究を行ったので報告する.第一は,JPGLにもとづく軽症喘息への治療である.JPGLは軽症の段階でロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を推奨しているが,GINAはJPGL基準の軽症には対症療法のみを行うというように異なっている.そこで,2つの治療指針を比較する臨床試験を行い,増悪の頻度を比較したが,JPGL方式はGINA方式より有意に低いことを明らかとした.第二にダニ感作と好酸球顆粒蛋白濃度高値というフェノタイプに対する治療選択として,吸入ステロイドとLTRAの効果を比較した試験では,両者は同等で,治療反応性を規定するバイオマーカーの同定には至らなかった.その他,予後を変えうる早期介入について,免疫療法やOmalizumabの早期投与など最近の研究の動向についてもレビューする.