目的
日本の小児における木の実類アレルギーの増加が報告されているが,小児の救急受診患者の背景や誘発症状を検討したものはなく,当センターにおける状況を分析した.
方法
2016年2月~2021年10月に木の実類の即時型症状で救急外来を受診した29例(27名)について,原因食物,患者背景,誘発症状,治療を診療録から後方視的に検討した.
結果
原因はクルミ12例(10名),カシューナッツ12例,マカダミアナッツ3例,アーモンド1例,ペカンナッツ1例で,年齢中央値は3歳であった.15例がアナフィラキシー,うち5例はアナフィラキシーショックであった.13例がアドレナリン筋肉注射,うち1例がアドレナリン持続静脈注射を要した.11例が入院し,うち3例は集中治療室へ入院した.初発は22例で,そのうち14例が他の食物に対する食物アレルギーを有していた.
結語
木の実類アレルギーの救急受診患者は,年少児がアナフィラキシーで初発した事例が多かった.予期せぬ重篤事例を未然に防ぐため,何らかの医学的及び社会的対策が望まれる.