目的:小児科外来を受診する母親に,離乳食での食物アレルギー(以下,FA)への不安と,それを増強する因子がないかについて調査を行った.
方法:2020年3月から4月までの2か月間,後期乳児健診を目的に受診した乳児の母親を対象とし,離乳食でFA症状を経験したかを聞き,リッカートスケールを用いてその不安をどのように感じているのかのアンケート調査を行った.さらに,食物アレルギーと誤嚥,食中毒への不安を比較した.
結果:36施設から533件の調査票を回収した.過去にFAの症状が出たことがあると答えたのは16.4%であった.FA症状の大部分は軽症であったが,部分的なじんましん症状でも不安スケールは有意に上昇し,食物制限も多かった(P<0.01).不安スケールは誤嚥がもっとも高く,続いて食中毒で,FAがもっとも低かった.
結論:多くの母親のFAへの不安は高くなかったが,FA症状の経験は軽症でも離乳食への不安の上昇と制限につながっている.