食物アレルギー診療ガイドライン2021の各論のうち,第12-1章鶏卵アレルギー,第12-2章牛乳アレルギー,第12-3章小麦アレルギーについて概説する.以前のガイドラインでは,各アレルゲンに関する記載は疫学,食物アレルゲン,診断と検査といったそれぞれの章に分散していたが,今回から第12-1,12-2,12-3章として,各アレルゲン別に発症年齢・臨床型分類,予後,アレルゲンコンポーネント,診断,食事指導についてまとまって理解できるようになっている.
これらのアレルゲンは粗抗原,コンポーネントともに特異的IgE抗体価の検討が多くある.診断については最新のプロバビリティカーブの報告を合わせて記載し,その有用性について述べている.また,日頃の食生活に直結するアレルゲンであることから,食事指導についても必要最小限の食物除去を実践するためにタンパク質含有量,低アレルゲン化の方法,交差反応性のある食物などの情報が記載されている.