2023 年 37 巻 1 号 p. 60-69
ジベレリン制御タンパク(GRP)は,重症の果物アレルギーのアレルゲンとして知られ,現在,モモPru p 7,梅Pru m7,オレンジCit s 7など5種が国際登録されている.GRPは熱や消化酵素に安定であり,運動などの二次的要因の関与より食物依存性運動誘発アナフィラキシーの臨床型もとる.顔面,特に眼瞼浮腫や喉頭閉塞感の発現頻度が高く,アレルゲンソース単位の特異的IgE抗体測定の偽陰性に注意が必要である.近年,スギやヒノキの花粉由来GRPが同定され,それらとの交差反応により花粉―食物アレルギー症候群が生じるのではないかとの意見がある.納豆アレルギーは,摂取後約半日経って発症する,遅発性アナフィラキシーの臨床像をとることが多く,全身性蕁麻疹,呼吸困難,さらには,ショックに至ることも稀ではない.主要アレルゲンは,納豆の粘稠成分であるポリガンマグルタミン酸(PGA)である.PGAの感作経路は,クラゲ刺傷時のクラゲPGAの経皮曝露によると推察されている.納豆アレルギー患者の多く(約90%)がマリンスポーツ歴を有することもその根拠の1つである.