ウイルス性上気道炎とそれに続発する鼻副鼻腔炎は,小児によくみられる疾患であり,時にアレルギー性鼻炎との鑑別に苦慮する.鑑別診断には,症状,局所所見,鼻汁細胞診がポイントとなる.鼻副鼻腔炎では鼻閉,粘膿性鼻漏,後鼻漏,湿性咳嗽,頭痛などの症状がみられる.特に湿性咳嗽は鼻副鼻腔炎患児の60%以上に認められる重要な症状である.局所所見では,鼻腔の膿性鼻汁や咽頭後壁に付着する粘膿性後鼻漏を観察する.ファイバースコープを用いれば中鼻道から後鼻孔に流れる粘膿性分泌物を観察することができる.鼻汁細胞診による好中球や好酸球の観察も有用であり,症状や所見と併せて総合的に診断を行う.現在「小児アレルギー性鼻炎診療の手引き」の作成が進んでおり,今後アレルギー性鼻炎の診断,治療への活用が期待される.一般的に小児の鼻副鼻腔炎は,抗菌薬を中心とした薬物療法やセルフケアを含む局所処置により治癒しやすい.鼻症状をみたとき,感染性かアレルギー性かを常に考えながら,きめ細かく対応することが必要である.